透析技術認定士による透析の基礎の基礎~糖尿病になる前に予防しよう〜

最終更新日:2020年11月9日

皆さま、こんにちは。

10月を過ぎて寒さが身に染みる季節となりました。インフルエンザが流行する時期に入ります。コロナ対策と同様に予防し感染に気をつけていきましょうね。

 

青森ドクターズネットコラム「透析技術認定士による透析の基礎の基礎~透析を知ることでカラダを労わることを意識しよう~」:第五弾「糖尿病になるまえに予防しよう」を一緒に学んでいきましょう。

糖尿病になるまえに予防しよう

日本人は糖尿病にかかりやすい

糖尿病といえば中高年の男性で肥満の人の病気というイメージをもちますが、20~30代の若い世代ややせ型の女性にも増えています。糖尿病は膵臓から分泌されるインスリンというホルモンの分泌量が少なくなってしまったり、効きが悪くなったりすることで血糖値が下がらなくなる病気です。

 

初期段階ではほとんど自覚症状がないため、気がついたときにはかなり病気が進行していることが多いのです。糖尿病になると、様々な代謝異常が起きて血管や内臓、骨や歯などがダメージを受け、重篤な合併症が起きやすくなります。そもそも日本人は世界の中でも、遺伝的に糖尿病にかかりやすい体質を持っているといわれています。その体質に加え、欧米化した食生活や運動不足などの生活習慣の乱れが原因で、糖尿病にかかる人や予備軍が加速度的に増えています。しっかりと予防しましょう。

 

糖尿病予防に効果的なのは、糖質制限です。糖質と聞くと砂糖や甘いお菓子などを思い浮かべがちですが、実際には、ごはん、パン、麺類などの原料である穀類にも多く含まれています。糖質は生きていく上で欠かせない栄養素の一つです。

 

炭水化物や菓子などは食べるとすぐにブドウ糖になり、血糖値(血液の中のブドウ糖の濃度)が大きく上昇し、膵臓から血糖値を下げるインスリンが分泌され、体の細胞に移動させてエネルギー源としてグリコーゲンや脂肪として蓄積されます。しかし、糖質の過剰摂取が続くと血液中のインスリンが常に多い状態に。高インスリンの状態が続くと、細胞のインスリンへの応答も悪くなります(インスリン抵抗性)。こうなると、さらに高血糖になり悪循環を引き起こします。

 

「ペットボトル症候群」に注意 

糖尿病は、やせていても注意が必要です。スイーツやパスタなど糖質に偏った食生活をしていると高インスリン状態が続きます。やせて体力がなく、運動不足になると血液中のブドウ糖をエネルギーとして活用する能力が下がり(インスリン抵抗性の上昇)、血糖値が下がりにくくなります。

 

 

特に、若い人が陥りやすく注意してほしいのが「ペットボトル症候群」。体内の血液には総計4~5gのブドウ糖が含まれています。

 

甘いペットボトル飲料にはその数倍の20~30gものブドウ糖が含まれているのものあり、飲んだ途端にほぼ全量が急激に吸収されます。私たちの体は、連日の急激なブドウ糖上昇に対応できないため糖尿病を発症します。「ペットボトル症候群」の治療は清涼飲水の摂取中止です。

 

現代生活は24時間好きな時に食事を簡単に手に入れることができ、仕事や家事などがあまり体を動かさずにできるようになったりと、非常に便利になりました。ウェブ技術も発展し、さらに体を動かさない生活になってきています。糖質を制限する食事に加え、きちんと体を動かすことも重要です。糖尿病予防は肥満予防にもつながり、健康寿命が延ばせるでしょう。

 

糖尿病にかかりやすさチェック

自分は大丈夫と思っていても、糖尿病になりやすいかもしれません。まずはセルフチェックで確認してみましょう。

 

  • 家族や血縁者に糖尿病の人がいる
  • 肥満気味だ
  • 不規則な生活をしている
  • 運動不足になっている
  • 高血圧だといわれたことがある
  • 食生活が偏りがちだ
  • 最近ウエストが太くなった
  • ストレスが多い
  • お酒をよく飲む
  • 早食いだ
  • 野菜嫌いだ
  • 喫煙習慣がある
  • 清涼飲料水をよく飲む

 

〇が多いほど糖尿病になりやすい危険因子を多くもっています。健康診断を欠かさないようにして、下記の予防法を実践してみましょう。

長続きする「ゆるい糖質制限」

ごはんやパン、麺類など糖質の多い食品を食べない「糖質制限ダイエット」が話題になっていますが、炭水化物を完全に断つことは難しく体にも負担がかかります。糖尿病予防のためには、無理なく続けられる「ゆるい糖質制限」がオススメです。

 

私たちの身の周りには丼物やラーメン、パスタ、菓子パン、カップめん、スイーツ、ジュース類など、糖質の多い食品であふれています。糖質は安価な上に、脳に快感をもたらすため外食に多く取り入れられています。

 

さらに、食後の血糖値低下が糖質への欲望を増すという悪循環に。油断すると糖質過多になるので、1日の炭水化物摂取量を今までの半分に減らす程度のゆるい糖質制限で、糖尿病を予防しましょう。運動を組み合わせればより健康的なダイエットになります。

 

丼物など単品メニューはやめる

ランチはパパっと食べられる丼物や麺類、カレーなどですませがちです。単品メニューは炭水化物が多い傾向にあるためNG。サラダや副菜がついている定食メニューを選びましょう。丼物やカレーを食べるときには、予めごはんを少なく注文してサラダやスープを加えたり、トッピングでタンパク質を増やしましょう。

 

 

食べ順にも気をつけて

食べる順番も大事です。最初に野菜を食べると、血糖値の上昇が緩やかにさせます。次に、満腹感を得られやすい汁物、そしてタンパク質の肉・魚を食べましょう。最後にごはんを食べれば、自然に炭水化物の量が減らせます。ワンプレートの場合は、おかずの部分を先に食べて、ごはんの量が多すぎる場合は残しましょう。

 

飲み物はお茶か水

水分は胃に重量をかけて満腹感を味わわせてくれるので、水分をたっぷり摂りましょう。しかし、甘い飲み物は禁物です。健康のために飲んでいる市販の野菜ジュースや飲むヨーグルトにも大量の糖質を含んでいるものがあります。水分は水かお茶にしましょう。

 

コンビニではミニ野菜をプラスに

サラダだけでなく切り干し大根やひじきの煮物、焼き魚などコンビニはバリエーションが豊富。冷奴や枝豆など、良質のたんぱく質がとれるお助け商品もそろっているので、ランチはこれらを組み合わせるだけでOK。その際、糖質はおにぎり1個やサンドイッチだけに抑えて、カップみそ汁やスープを加えれば、立派な糖質制限ランチになります。

 

空腹解消をお助け食品を常備

夕食から就寝までの時間に、空腹を覚えるとつい買い置きしたお菓子類に手が出てしまいます。夕食後の甘いものは脂肪になりやすいので厳禁。お菓子ではなく空腹解消のお助け商品を常備しておきましょう。

 

もずく酢やめかぶなどのカップタイプ、納豆、チーズ、無糖ヨーグルト、豆乳、魚肉ソーセージ、ところてんなどがオススメです。

 

喫煙、多量飲酒はやめる

喫煙は、インスリンの分泌や作用の低下を引き起こすのでNGです。運動能力や代謝力も低下します。アルコールのほとんどは糖質が含まれ、高カロリー。

 

たとえば蒸留酒であっても、アルコールのエネルギーが先に使われるため、飲酒量が増えると食事のエネルギー量が蓄積されて太りやすくなります。1gのアルコールは7㎉で、9㎉の脂質に次ぐ高いカロリー。4㎉n糖質1gより高カロリーです。

 

 

加えておつまみに、唐揚げやポテトチップスなどカロリーの高いものを食べがちです。また脳や胃腸を刺激して食欲を増進させるのでシメにラーメンやお茶漬けが欲しくなります。夜中に上昇した血糖値は、使われることなく体脂肪に。おつまみは糖質を含まないものを選びましょう。

 

まとめ

今回は糖尿病になるまえに予防についてご説明いたしました。透析原疾患でも糖尿病性腎症が第1位を占めています。

 

糖尿病は様々合併症を引き起こすとても怖い病気です。自覚症状がなくジワジワと進行していきます。

 

日ごろからの生活管理がとても重要ですので規則正しい生活を心得て糖尿病になるまえに予防していきましょう

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執筆者
中野 雄宇

中野 雄宇

プロフィール
1.出身地
  生まれは岩手県宮古市。岩手県岩泉町育ち
  現在は青森県八戸市在住

2.出身校
岩手県立岩泉高等学校卒業
岩手医師会宮古准看護学校
八戸看護学校第二学科

3.勤務経歴
医療法人財団 正清会 三陸病院
介護老人保健施設 ふれんどりー岩泉
医療法人 青仁会 西南病院
医療法人八戸泌尿器科医院
社会福祉法人恩賜財団済生会岩泉病院
医療法人メディカルフロンティア訪問看護ステーションやわた

4.誕生日
1978年4月25日生まれ

5.趣味
多趣味 興味があるものはほとんど趣味にしてしまう

6.学生時代の部活
  中学校、高校1年までは野球部
  肩を壊してからは陸上部
  冬スポーツは苦手(スキー・スケートなど)

7.好きなスポーツ
  野球・相撲・バスケットボール

8.好きな本
  奥田 英郎さんの本が一番好き
  すべて本を買い探し暇があれば読み返しています。
  ジャンル問わず読みたい本は読んでいます。本を読むことが好きです

9.好きな言葉
  感謝・ありがとう・前向き

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