透析技術認定士による透析の基礎の基礎~透析を知ることでカラダを労わることを意識しよう~第四弾「日常での生活環境・家族サポートについて」
こんにちは。看護師の中野です。
10月を過ぎて秋が深まり、随分と寒くなってきました。「食欲の秋」何でも美味しく感じてしまいますね。コロナ対策をして感染に気を付けて秋の食べ物を満喫しましょう。
今回も青森ドクターズネットコラム「透析技術認定士による透析の基礎の基礎~透析を知ることでカラダを労わることを意識しよう~」第四弾「日常での生活環境・家族サポートについて」を一緒に学んでいきましょう。
目次
透析をして日常生活の変化について考えよう
今までの生活環境に「透析」という治療が入ることでどのように生活が変わりましたか?
透析は、週に3回、あるいは2回というように、一週間をひとつのサイクルとして考えます。
そのサイクルを自分の生活にうまく組み込むように今までの生活を調整する必要があります。身体の中に老廃物や水分などがたまりすぎないように食事などの自己管理が必要になります。
仕事は続けられますか?影響はでませんか?
透析治療開始後、約一か月の入院期間がありますが、透析治療を開始しても仕事を続けていらっしゃる方はたくさんいます。夕方4時~5時頃からの夜間透析をおこなっている病院治療を受けられる方も多いようです。また出張時には、出張先で透析を行なっている病院があれば、事前に予約を入れて治療を受けることも可能です。
上司の理解を得るため、一緒に病院へいらして説明を受け、状況を把握してもらう方もいます。時間が不規則な仕事をされている方は、会社側とよく相談して勤務時間の調整をしていただければと思います。
仕事と透析治療の両立は大変だと思いますが、仕事の継続については、結論を急がず、主治医と身体の状態をよく相談してほしいと思います。
また、学生の方も学校には通えるのか?などの意見も聞かれます。
学校への通学は可能です。
学生である患者さんの気持ちを理解し、医師、看護師との連携はもちろんのこと、教師との連携も図りながら、皆が一丸となって学校生活を順調に送ることができるよう配慮することが大切です。成長期、思春期とさまざまな悩みも出てくると思います。相談できる環境を作ることも重要なことです。
透析にはどれくらいお金がかかるの?保険制度はどうなっているの?
透析治療をはじめる前に、検査やシャント手術を行ないますので、一概には言えませんが。透析治療自体の費用は、週3回の血液透析を一か月行うと約50万円かかります。
そのうち自己負担は、国民健康保険をお持ちの方、社会保険の本人・ご家族ともに3割(約15万円)となります。ただし、同一の月内に特定疾病療養受領の手続きをすると、上記の自己負担額が一か月あたり1万円になります。
ほとんどの患者様が特定疾患療養受領手続きをされています。その他、更生医療など医療費が助成される場合もありますので、現在かかりつけの医療機関などにお尋ねください。
その他にも日常生活の変化はあると思いますが、大まかに説明させて頂きました。
ご家族のサポートについて~家族が透析患者になったら館得たい4つのコト
日本国内には約33万人の透析患者がいます。つまり380人に1人は透析治療を受け居ていること。新世紀や知人が透析治療を受けているという人も多いのではないでしょうか?
もし、家族の誰かが透析治療を受けるようになったら、どうしたらいいのでしょうか。今回は、透析患者の家族に知ってほしいこと、家族として心がけたいことを説明いたします。
1. まずは透析治療のことを理解しよう
「人口透析」という言葉は知っていても、どんな治療なのか詳しくは知らないという方が殆どだと思います。家族が透析を受けることになったら、まずは正しい知識を身につけることから始めましょう。
一般的に透析患者は週3回、透析クリニックや病院に通院して透析治療を受けます。それだけではなく、日常生活においても注意しなければならないことがたくさんあります。
場合によっては家族がフォローしなければならないことも。そういう時、事前に知識があったほうがスムーズにいくことも多いはずです。
できれば透析患者様に同行して、かかりつけ医からの説明を受けておいた方がいいでしょう。また、医師からの短時間の説明を受けただけは、すべてを理解することは難しいと思います。患者向けに書かれた本などを購入して、目を通しておくのもいいでしょう。
2. 家庭内の雰囲気・気持ちのフォロー
腎臓は機能が一度衰えてしまうと回復が難しい臓器です。そのため、ほぼすべての透析患者様は一生、人工透析治療を受け続けなければいけません。
また、命に関わる合併症などのリスクも増えてしまいます。そう考えると、透析患者様の精神的ストレスが非常に大きいことが分かるでしょう。実際に、透析治療の開始をきっかけに「うつ状態」に陥る患者様も少なくありません。
精神的な落ち込みから、治療の効果が思うように上がらなくなることもあります。そういったストレスを少しでも和らげるためには、家族のフォローが不可欠です。
患者様自身が透析治療に前向きに取り組めるよう、家族も透析としっかり向き合う姿勢が大切です。透析治療を受けている最中は、患者様は自由に動き回ることができません。その為必然的に、透析治療について考える時間も多くなるもの。
帰宅してからも透析治療の話ばかりになると、気分が落ち込んでしまいます。患者様の話を聞くことも大切ですが、ときには別の話題をふるなどして家庭内の雰囲気が暗くならないような気づかいを忘れないようお願いします。
気軽にできる新しい趣味を進めてみるのもいいでしょう。患者様が疲れないよう注意する必要はありますが、家族そろっての外出も気分転換にはお勧めです。
3. 家族のサポートで生活が変わる
透析治療を受けるようになると一番の問題となるのが食事です。透析患者様は体内の老廃物がうまく輩出できなくなる為、なるべく老廃物が出ない食事を心がけなければいけません。
たとえば果物や生野菜を摂取しすぎると、血中カリウム濃度が上昇して不整脈や心停止の危険があります。水分や塩分についても摂取できる量に制限があります。
家族ができるサポートとしては、透析患者様の食事制限に合った料理を作ることですが、ただ塩分や水分を減らしただけでは、味気ない食事になってしまいます。
病院では栄養士による食事指導を行っているので、患者様と一緒に受けてみるのもいいでしょう。透析患者向けレシピ本なども出しているので参考にしてみてください。
また、家族の中で透析患者様だけが別のメニューを食べるという状態は、精神的なストレスにつながることも。料理するほうにしても、通常食と透析食の2種類を作るのは大変です。
栄養バランスを考えた薄味の食事は、健康な人にとっても好ましいものです。家族全員が同じ料理を食べられるよう工夫してみてはいかがでしょうか。もし、透析患者向けの料理をする場合、毎食必ず制限を守ろうと堅苦しく考えすぎないことが重要です。
昼食が少し塩分多めなら夕食で控えるなど、1日分で調整したほうが負担も少なくなります。そういった調理方法を取り入れれば、外食をすることも可能です。
また、家族は様々な手続きもサポートできます
透析治療を受けるようになると、身体障碍者手帳が習得できます。そのためには役所に出向いたり書類を揃えたりと面倒な手続きが必要です。そういった部分でも家族のサポートできることはたくさんあります。
また、通院の際の送り迎えだけでも、患者の負担を減らすことができます。一方、患者様を全面的にフォローしようとすると、反対に家族の方が疲れ切ってしまいます。家族でよく話し合って誰がどういったサポートができるか考えてみましょう。
4. 全国に仲間がいる、患者会って?
透析患者様を含む腎臓病の患者をサポートする組織があります。それが腎友会で、全国に約3000もの団体が作られています。のべ会員数は約10万人で、患者のよりよい生活のため活動を続けています。
腎友会の目的は、腎臓病患者が安心して治療を受けられる医療体制や福祉制度を作ることです。そのために国や行政への働きかけも行っています。
同じ病気に立ち向かう患者との交流をもつだけで、お互いに励みになることもあるのでしょう。少しでも興味があれば、お住いの地域の腎友会を調べてみてはいかかでしょうか。
まとめ
今回は透析を行った場合の日常生活の変化・家族サポートについて説明しました。長くなってしまいましたが、たくさん疑問や相談したい事があるかと思います。
1人で悩まず、かかりつけ医や担当看護師または栄養士へご相談ください。ご家族と話し合ってこれからの生活スタイルを考えていきましょうね。