「透析技術認定士による透析の基礎の基礎」(8)~災害時の備えについて
こんにちは、看護師の中野です。
みなさん、お元気にお過ごしでしょうか?
新年を迎えたばかりと思っていましたがもう2月になります。
今年は大寒波で大雪が降り、どこの地域も毎日の雪片付けに追われる日々でした。気温の変動もありますから体調に気をつけていきましょうね。
青森ドクターズネットコラム「透析技術認定士による透析の基礎の基礎~透析を知ることでカラダを労わることを意識しよう~」第八弾「災害時の備えについて」を一緒に学んでいきましょう
災害時の透析の備えについて考えよう
皆さんの記憶にも新しいかもしれませんが東日本大震災から今年で10年が経とうとしています。記憶も徐々に薄れている現状があるかもしれませんが、忘れたころに災害はおこると私は思っています。コロナ感染で透析施設がクラスターになった場合、他の透析施設にいかないとならなくなるかもしれせん。
災害と同様に準備や備えをもう一度振り返り確認してみましょう。
1.自然災害は、いつどこで起こるかわかりません。
ひとたび大地震が起これば強い揺れや地割れ、津波、火災の恐れもあり、停電や断水などライフラインが寸断したり、交通機関に影響が出たりすると考えられます。
透析治療を受ける医療機関に被害が出ることも予想されます。
透析治療を受けている患者様は、災害で治療を長期間受けられないと生死に関わることもあります。そのため、日ごろから災害に備え、もしもの時には落ち着いて行動することが大切です。いざという時に慌てないよう、治療や生活に必要なものを日ごろから用意しておきましょう。
2.日頃の備えは万全ですか?
各施設にある「災害対策マニュアル」を確認し、「透析カード・血液データ管理手帳」「お薬手帳」を常に携帯しましょう。
透析カードには、通院している病院の連絡先や検査結果、体重(最近のドライウェイト)、注射している薬、透析条件、穿刺部位などを記載しておきましょう。(各施設スタッフに記入してもらったり、情報更新をしてもらいましょう)
「お薬手帳」も忘れずに持ち歩くようにしてください。
注意点として大規模災害のときは透析カードなどを持って非難できない場合もあります。自分の身を守るためには、日頃から医療者に全てお任せするのではなく、恒例の方であっても以下に挙げる重要な点は覚えておきましょう。(ご家族も一緒に覚えて頂ければ幸いです)
- ドライウェイトが言える
- シャントの穿刺部位が言える
- 透析で使用する薬剤アレルギーの有無が言える
- 自己止血ができる
3.カリウムを下げる吸着剤などを数日分は常備しましょう
以前勤務していた透析施設では定期薬と臨時薬は3日分常備させておきました。
普段飲んでいる薬を余分に常に携帯するか、すぐに持ち出せるように準備しておきましょう。
薬には一回でも飲まないとすぐに身体に影響が出るものもあります。血圧の薬や心臓病の薬、インスリン、糖尿病の治療薬、そしてカリウムを下げる吸着剤を数日分は携帯してください。インスリンを使用している糖尿病患者様は注射器やインスリン製剤も肌身離さず携帯しましょう。
4.災害時の連絡方法や緊急の対応などを事前に調べておきましょう。
通院している病院への災害時の連絡方法や避難場所(集合場所)、家族との連絡の取り方などの情報を整理し、家族間で話し合っておきましょう。
5.透析を受ける病院や避難所などへの移動手段を確認しましょう。
大規模な災害が起こると電車やバスなどの公共交通機関は運行をストップすることもあります。親戚や知人、ヘルパーさんなど、緊急時の移動に協力してくれる人に事前に頼んでおくとよいでしょう。
6.自宅が被害に遭わなくても、病院が被害に遭えば透析治療を行えない場合もあります。
必ず透析施設と連絡をとりましょう。
7.親戚、知人などの避難先と近隣の透析医療機関を調べておきましょう。
親戚などに身を寄せる場合には、その近隣で透析治療を受けられる医療機関を探しておく必要があります。どういった施設があるか事前に調べえおきましょう。
また、遠方に避難を余儀なくされることも考えられます。そうした場合にも慌てないように普段から心がけておくことが大切です。
8.非常時の持ち出し品を用意して、いざという時にすぐ持ち出せる場所に準備しておきましょう。
消防庁の地震防災マニュアルなどのリストを参考に、避難する時に持ち出すものを準備しておきましょう。また、持出品は定期的に使用期限を確認しましょう。
透析患者様は、特に以下の点に気を付けてください。
・常備薬・救急セットを入れておきましょう
・飲料水:透析患者様は1人1日600~750mlが目安になります。
・非常食:タンパク質や塩分、カリウムが調整された透析患者様用の保存食を2~3日分備蓄しておきましょう。避難した際などには、食事の際にエネルギーを確保することが大切です。
一方、たんぱく質や塩分、カリウムを多く含む食品の摂取は控える必要もあります。これらの栄養素が調整された透析患者様用の保存食を準備しておくとよいでしょう。
9.保険証、身体障害者手帳、特定疾病療養証のコピーを用意しておきましょう。
その他にも、眼鏡や入れ歯・ラジオ・懐中電灯・懐中時計・電池や携帯電話の充電器・生理用品や紙おむつ・毛布・ポリ容器・卓上コンロ(ガスボンベも用意)・着替えや下着類・マスク・絆創膏などあれ便利です。
まとめ
東日本大震災から学んだことがたくさんあります。特に携帯は電気がとまれば充電ができなくて音信不通になった事も。当たり前にあるものが突然使えなくなると人間はパニックになります。
日ごろから心構えや備えを準備しておけば自分自身の身は守れると思います。
透析施設で行われている災害時訓練などを行っている場合は積極的に参加しましょう。
解らないことなどがあれば各施設の担当者に相談して確認しておきましょうね。