「歯(永久歯)」の一生について考えてみませんか?~「歯」を削らないようにすることが「歯」の寿命を延ばすことにつながります~

最終更新日:2023年7月22日

人は亡くなった時に人生を終えることとなります。

「歯」の人生を人の一生に例えたら「歯を抜いた時」あるいは「歯が抜けた時」が歯の一生の終わりとなります。

 

人の一生と同じように、歯の一生も千差万別です。

今回は歯の一生について考えてみたいと思います。

 

実は私たち歯科医師が「治療をしないこと」が歯を健康なままで長持ちさせる秘訣です。

「歯を削らない」ことこそが歯にとっては一番いい事なのです。

 

 

では、なぜ「歯を削らない」ことが重要なのでしょう。

 

それは歯科医師が削った歯は次から次へと治療が必要になり、歯を失っていくからです。

多くの場合、以下の順番で歯を失っていきます。

 

①むし歯になる

②むし歯になった歯を削って、詰め物をする

③詰め物をした歯がまたむし歯になる(二次う蝕)

④さらにむし歯が進行して、銀歯をかぶせる

⑤銀歯の中でむし歯が神経まで到達する

⑥歯の神経の治療が必要になる

⑦歯の根の先に膿がたまり、抜歯をする

⑧抜歯をした部分にブリッジを入れる

⑨ブリッジの支えの歯がむし歯になり、抜歯を繰り返してブリッジが大きくなる

⑩支えの歯が足りなくなり、ブリッジでは対応できないため取り外しの入れ歯になる

⑪取り外しの入れ歯のバネがかかる歯がむし歯や歯周病になり抜歯する

⑫最後は歯を全部失い、総入れ歯になる

 

つまり、外傷や事故を除き、むし歯にしなければ私たち歯科医師が「歯を削る」というリスクがなくなるのです。

 

むし歯ができてしまった口の中というのは、そのむし歯になった歯だけに問題があるわけではありません。永久歯の中には歯の形や場所によって、むし歯になりやすい歯となりにくい歯がありますが、むし歯ができる口の中というのは、口の中全体の衛生状態や細菌の状態が悪いことがほとんどです。

 

「むし歯が1本みつかった」ということは他の歯もすでにむし歯になっている、あるいはむし歯になる可能性が高いのです。

 

また、むし歯ができてしまうような食生活習慣や衛生習慣を急に「むし歯ができにくい食生活習慣や衛生習慣に変えましょう」と言われても簡単にできるものではありません。

 

一度身に付いた習慣を変えることがどれだけ難しいか、皆さんもダイエット、飲酒、喫煙などいろいろなことで経験があると思います。

 

 現実問題として「むし歯が0本の人」「むし歯の治療をしたことがない人」というのはかなり少数です。ほとんどの人が先ほどの①~⑫のどれかの治療を経験しています。既に治療をしてしまった歯は元には戻りませんが、次のステージに進まない=今より悪化させないことが重要になってきます。

 

どこかで「負の連鎖」を断ち切らなければ「一生歯科治療を受け続ける」という負の螺旋階段を下がっていくことになるのです。

 

では、「一生歯科治療を受け続ける」という負の連鎖を断ち切るためにはどうしたらいいでしょうか?今までと同じことを続けていたのでは同じ結果になってしまいます。

 

 

例えば、今までは歯ブラシだけ使って歯磨きをしていたけれど、デンタルフロスや歯間ブラシなどの補助的清掃用具を追加する。メンテナンスや歯科健診のために歯科医院にしばらく行っていなければ、今すぐ予約をする。ダラダラと間食する癖があるのなら、同じ間食の量を食べるとしても、時間を決めて間食するようにする、などすぐにできる事からはじめてみるのがいいでしょう。

 

「食べること」は「生きること」につながります。

 

同じ年齢でも、若々しく元気でエネルギーに満ち溢れている人がいる一方で、病気がちでパワーが不足している人もいます。一生自分の口から食べ続けるためのパートナーである「歯」を長持ちさせて、健康な体と心を作り続けていきたいものです。

 

コラムニスト:大澤優子

株式会社ケロル 代表取締役
歯科医師

八戸市出身。岩手医科大学歯学部卒業後10年の勤務医生活を経験し、その後大澤歯科医院副院長となり現在に至る。

医院とスタッフのマネジメント、子育てで悩んでいた40代で個性心理學と出会い、個性心理學認定講師として一部上場企業、歯科デーラー、小児科医院などでの講演を多数行っている。

青森市大澤歯科医院「ママさん歯科医師Dr. YUKO」のブログで女性歯科医師としての目線で、日々の診療、働く女性として、子育てのことなどを発信中。

●青森市大澤歯科医院「ママさん歯科医師Dr. YUKO」のブログ
https://ameblo.jp/dr-yuko0610/

 

 

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執筆者
池上文尋

池上文尋

北里大学獣医学部 動物資源科学科卒 
大学時代、現在、人に使われている生殖医療の基本技術を学ぶ。
卒業後、外資系製薬企業に所属し、12年間、製薬企業のマーケティングスタッフとして勤務する。(ノバルティス・メルクセローノ・ファイザー)

特にセローノでは不妊治療に使うホルモン剤を中心に扱っていたので、不妊治療に関わる先生方と深く関わることになった。

2000年7月に株式会社メディエンスを設立、日本全国の産婦人科クリニックや病院の広報やブランディングをサポートする事業を開始。また、製薬企業向けのポータルサイトを制作、製薬企業のスタッフ教育に関わる。

不妊治療に造詣が深く、妊娠力向上委員会、胚培養士ドットコム、日刊妊娠塾という不妊治療関係のネットメディアを運営している。また、不妊治療関係の企業へのコンテンツ提供を行っている。

2002年より、オールアバウトの不妊治療ガイドとして16年間執筆・編集に従事。その他にも不妊に関する多くの著書、映画、調査などのアドバイザーとして関わる。

不妊治療の取材で訪れたクリニックや病院、関係施設は300を超え、日本で最も不妊関係の取材を行っている一人である。現在もその姿勢は変わらない。

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