なぜ患者さんが医師の言葉を信じず、隣のおばちゃんのマルチビジネスのサプリを信じてしまうのか?~医療の不条理が発生する理由
第一話
なぜ、患者さんが専門家である医師の言葉を信じず、隣のおばちゃんのマルチビジネスのサプリを信じて買ってしまうのか?
今まで何千人と医師と会ってきて、取材をさせて頂き、よく出てくる話が今回のテーマです。特にガンや難病系の疾患で見られることが多いですね。
日本のオピニオンリーダーと言われる産婦人科のA先生とそれについてお話をしたことがあります。
A先生曰く、僕たちは子どもの頃からずっと勉強し続けてきて、医師になり、そこからまた勉強をして博士号を取り、専門医を取り、50歳ぐらいになってようやく医師として一人前という世界で、誰よりもその分野を学んできたし、世界中の論文を読み漁ってきたし、人一倍患者さんに接し、治療してきた。
しかし、患者さんを100%治癒させることは出来ない。だからと言って、その治癒の難しい患者さんにまだ未確定なものを勧めたり、投与して、健康状態を悪くしたくない。1秒でもいい人生を送ってもらいたいから。
でもね、患者さん達は自分達も何か努力して、その可能性を広げたいと考えているので、何か食べて良くなるなら試してみたいと隣のおばちゃんのマルチ商法サプリメントを買ってしまうんです。
そして、問題なのはそれを医師に隠れて飲んでいたりするのです。薬を変えていないのに急に肝臓や腎臓の検査値が悪くなったりするケースは隠れて健康食品を摂っているのが多いですね。
だから、我々も最近は「とにかくここ以外の医療機関で出された薬、セルフケアのサプリメントや健康食品も包み隠さず教えてくださいね」と先に伝えるようにしています。
医師や医療機関のコミュニケーションが診療の忙しさでついついおろそかになってしまうことが、結局、その患者さんの心のすき間を作ってしまうことになるので、気を付けるようにしています。
と話してくれました。
青森でも個人でサプリメントやお水や健康食品を販売している人も多いと思いますし、自分が使ってみて良いからおススメしているという方も多いと思います。
それについては個々の考えですから、健康増進のためには害はないと思いますが、それがガンの方や難治性の疾患などに効くようなイメージを持たせたトークになるとある意味、罪になります。「~さんはこれを飲んで、良くなったのよ」みたいなトークですね。
間違えばその人の命を縮めることに加担する訳ですから。
命の危機がそこにある時には、患者さんは藁をもすがりたい気持ちになります。それに乗じてビジネスをする業者やディストリビューターは少なからずいます。患者側としても、それはしっかりと知っておくべき知識だと思います。
やはり相談すべきはしかるべき勉強を重ねてきた医師であり、薬剤師であり、看護師であるべきだと思います。もちろん、コミュニケーションが下手な医療スタッフも少なからずいます。しかし、医療で人を救いたいと思って、勉強をし続けてきた人達なのです。
医療側がコミュニケーションを模索し続けることはもちろんですが、患者側も上手に医療機関やスタッフとコミュニケーションを取れるように心がけると双方の歩み寄りで新しい展開が見えてくるものです。
ビジネス用語でホウレンソウ(報連相)というのがあります。ビジネスにおいて、報告・連絡・相談というコミュニケーションが大事ですよと言うことを頭文字で表したものです。
医療機関と患者さんの関係もある意味、双方向のホウレンソウが必要なんじゃないかなと思う訳です。
よくありがちなのが、忙しそうにしている医師に伝えるのが苦手とか、気が引けるというケースがありますが、その場合、こうするとうまくいくと思うので試してください。
- 質問したいことを前もって受付か、看護師さんに紙に書いて渡しておく
- メールで受け付ける医療機関であればメール質問する
- WEBサイトの問い合わせフォームから質問する
ということで、今回は患者さんの不条理な行動はどこから生まれてくるのかについて書いてみました。
以上