マスクをしているからこそ、気を付けたい非言語コミュニケーション

最終更新日:2020年10月26日

まだまだ収束が見えない新型コロナウイルス。それでも、感染防止対策をしっかりしながら、新しい生活様式に徐々に慣れつつあります。

 

先日のあるニュース。保育園に通う子どもたちの表情が乏しくなっているといいます。理由は、保育士がマスクをして保育をしていることだそうです。発達段階において、大人が話す口の動きを見て、それを模倣しながら、子どもたちは発達していくのだそうです。

 

それが、マスクをしていると、目しか見えないため、読み聞かせや食事のときに全く口元が見えないことから、子どもたちは模倣することができず、表情が乏しくなっているのではないかという見解でした。

 

「これまでにない」ことから、こういうところでも影響が出ているのだと興味深いニュースでした。

 


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同じように、大人にもマスクの影響が出ていると思います。

 

「非言語コミュニケーション」ということばがあります。いわゆる「目は口ほどにものをいう」です。言葉を発信しなくとも、伝わってしまうことです。今、欠かせないマスクをしているからこそ、目で多くのことが伝わってしまう状況下にあります。

 

目で伝わってしまうことを補完するために、声のトーンがあります。

 

声のトーンですと、明るく聞こえるのは音階(ドレミファソラシド)の「ソ」の音だそうです。反対に暗い感じに聞こえるのは「レ」の音だそうです。

 

 そうなると、朝のあいさつは、お互いに「ソ」の音でしたいものです。朝のあいさつの声のトーンが、低め(「レ」の音)ですと、周囲からは「なんか具合悪そうだな」とか、「今日は機嫌が悪そうだな」という印象を持たれてしまいます。その日一日、仕事を頼みにくい、相談しにくいなど、多少なりとも支障が出かねません。

 

また、朝のあいさつひとつで、周囲の雰囲気を作り上げてしまうこともあります。だからこそ、明るい雰囲気、頼みやすい雰囲気、相談しやすい雰囲気を作り出すためには「ソ」の音でのあいさつの方がコミュニケーションが取りやすい職場になると思われます。

 

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 また、マスクをしているからこそ気を付けたいことに「滑舌」があります。

 

 マスクはフィルターになってしまいますので、声がこもってしまいます。聞きづらくて、訊き返してしまったりすることも、以前より多くなったと思います。これが度重なると、お互いにイラついてたりなどあり、雰囲気も悪くなることも。だからといって、大声で話せば通じるということではありません。まして、医療機関で大声を出すわけにはいきません。

 

そこで大切なのが「滑舌」なのです。言葉一つひとつをはっきりと話すことです。そうすることで、マスクを通しても結構はっきり聞こえるものです。滑舌をよくするトレーニングは、アナウンサーがするトレーニングと全く同じです。

 

「あえいうえおあお、かけきくけこかこ、させしすせそさそ、……」(50音すべて)。これを1日1回、声を出して言ってみることから始めてみませんか。確実に滑舌がよくなります。アナウンサーも、最初は素人ですが、このようなトレーニングに膨大な時間を費やすことでプロになっているからです。

 

「滑舌」はトレーニング。是非、実践してみてください。その結果が、「聞きづらい」のストレスを解消してくれると思います。

 

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 新しい生活様式から生じる様々な支障は、今後も起こりえます。支障はそのままにするのではなく、解消する工夫が大切だと思うのです。「withコロナ」の「うまく付き合う」とは、そういうことだと思います。

 

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執筆者
下田 静香

下田 静香

代表取締役社長

経営学修士(MBA)
法政大学大学院イノベーションマネジメント研究科卒

青森県八戸市鮫町出身。1969年生まれ。
青森県立八戸北高校、群馬県立女子大学を卒業後、専門学校、大学、財団法人、社会福祉法人の事務部門を経験。その後、病院、介護施設の人事制度構築コンサルタントとして活動。40歳のとき、人事の専門家としての“道”を再構築するため、経営大学院に入学。病院における人材・組織開発、多職種連携を研究。

現在は、医療分野、福祉分野(介護、保育、障害)の人事制度構築、人材育成プログラム開発、人材育成に関する階層別研修、組織開発研修や講演、執筆等、人事組織アドバイザー、研修講師として活動中。クライアントの要望に添った丁寧なコンサルティング、すぐに使える(活かせる)研修プログラムと講義を大切にしており、人事制度構築では、全国の病院、介護施設で実績を積み、それに付随する評価者研修講師は延べ500件以上を手がけている。

著書に「介護施設のためのキャリアパスのつくり方、動かし方」(東京都社会福祉協議会)、「理学療法士育成OJTテキスト」(文光堂 共著)、「医療人材・組織の育成法」(経営書院 共著)