「歯並び」が不登校・ひきこもりの原因になるとしたら~「そんなことぐらい」「気にしすぎ」で問題を見逃さないように~

最終更新日:2023年6月9日

不登校児童は毎年経過し続け、現在では24万人を超えています。

 

厚生労働省は「登校拒否」を何らかの心理的、情緒的、身体的若しくは社会的要因又は背景によって、児童生徒が出席しない又はすることができない状況(病気又は経済的理由による場合を除く)と定義しています。

 

不登校の原因は複雑に絡みあっているため、不登校児童本人の悩みを周囲の人間が理解することは難しい側面もありますが、歯科的な原因(主に「歯並び」と「口臭」)が不登校の原因に関係しているケースもあります。

 

今回は不登校児童と歯並びの関係について考えてみたいと思います。

 

 

思春期になると男女問わず「自分の見た目」を気にし始めます。自分の見た目を気にし始めるとアイドルや友人の歯並びと比べて「自分の歯並びや歯の形は他人と違う。自分の容姿は醜い」と思ってしまうことがあります。さらに「醜い容姿の自分は人前に出てはいけない」と思い始め、不登校やひきこもりへと繋がる場合もあります。

 

不登校やひきこもりにはならなくても「歯や口元」にコンプレックスを持ち、人前で歯をみせて話せない、歯並びを隠すために笑う時や会話の際に口元を手で隠す、などという行動をとります。

 

思春期以前の場合は、友達に「出っ歯」「ねずみ男(漫画「ゲゲゲの鬼太郎」に登場するキャラクター)」と言われたり、受け口(反対咬合)を「あいーーん(下顎を前に突き出して、下顎に手を添える一発芸)」とからかわれて登校拒否になった、というケースもあります。

 

 

年齢が幼いため、からかった側はあまり深く考えずに言葉を発したと思われますが、からかわれた側(当事者)は深く傷ついてしまいます。

 

 見た目や美醜の感じ方は人それぞれ違います。また周囲の人間は「そんなことぐらい、気にするな」と思うかもしれませんが、本人にしてみればとても重大な問題です。

 

 私が歯学部の学生だったころ、「歯科矯正学」の授業で、悪い歯並びは見た目だけの問題だけではなく、全身の健康状態にも関係してくると学んだ時、今は他界してしまった母に「歯科矯正をして歯並びを治したい」と相談したところ「口の中に針金を入れてまで歯並びを治す必要はないんじゃない」と反対されました。母は非医療従事者だったので矯正治療のメリットを感じていなかったのだと思います。

 

 歯並びが引き金になって不登校やひきこもりになった場合、矯正治療で歯並びを治せば問題は解決しますが、矯正治療は治療費がネックとなります。

 

 少し難しい内容になるのですが、歯科矯正は医療費控除の対象となる場合とならない場合があります。見た目を良くする美容目的の矯正治療は医療費控除対象外となりますが、咀嚼や発音など機能面に悪影響があると認められた場合に限り矯正治療は医療費控除対象となります。

 

 また、矯正治療は保険適用外ですが、顎の手術を必要とする場合など、条件を満たした場合に限り保険診療の適用になります。

 

ただし、保険適用される矯正治療に対応できる医療機関はごく一部ですので、まずはかかりつけ歯科医院に相談することをお勧めします。

 

 

 今まで、お子さんが不登校になった保護者の方から「歯並び」について相談されたケースのほとんどが、お子さんが不登校になってから専門家(スクールカウンセラーなど)と面談を重ねていくうちに「子どもが歯並びでこんなに悩んでいるとは思わなかった」というものです。

 

 中には小学校入学前から歯並びについて保護者に早めの矯正治療の必要性を説明し続けていたのですが、治療費の問題や私の力不足のため、本人、保護者ともに矯正治療の必要性を伝えきれなかったために中学生や高校生になってから、不登校になるケースにも遭遇しました。

 

 もちろん自分の思い通りにならないことを歯に限らず「何かのせい」にして逃げ出してしまうのは残念なことですが、ネットであらゆる情報を手にいれる事が可能になった現代、大人にとっては「そんなことぐらい」あるいは「気にしすぎ」と思っていることが子どもたちにとっては心を病んでしまうほど重大なことなのかもしれません。

 

子どもたちを取り囲む環境が大きく変化しているということを、子どもたちに接する機会がある私たち大人が理解してあげることも必要なのかもしれません。

 

コラムニスト:大澤優子
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株式会社ケロル 代表取締役
歯科医師

八戸市出身。岩手医科大学歯学部卒業後10年の勤務医生活を経験し、その後大澤歯科医院副院長となり現在に至る。

医院とスタッフのマネジメント、子育てで悩んでいた40代で個性心理學と出会い、個性心理學認定講師として一部上場企業、歯科デーラー、小児科医院などでの講演を多数行っている。

青森市大澤歯科医院「ママさん歯科医師Dr. YUKO」のブログで女性歯科医師としての目線で、日々の診療、働く女性として、子育てのことなどを発信中。

●青森市大澤歯科医院「ママさん歯科医師Dr. YUKO」のブログ
https://ameblo.jp/dr-yuko0610/

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執筆者
池上文尋

池上文尋

北里大学獣医学部 動物資源科学科卒 
大学時代、現在、人に使われている生殖医療の基本技術を学ぶ。
卒業後、外資系製薬企業に所属し、12年間、製薬企業のマーケティングスタッフとして勤務する。(ノバルティス・メルクセローノ・ファイザー)

特にセローノでは不妊治療に使うホルモン剤を中心に扱っていたので、不妊治療に関わる先生方と深く関わることになった。

2000年7月に株式会社メディエンスを設立、日本全国の産婦人科クリニックや病院の広報やブランディングをサポートする事業を開始。また、製薬企業向けのポータルサイトを制作、製薬企業のスタッフ教育に関わる。

不妊治療に造詣が深く、妊娠力向上委員会、胚培養士ドットコム、日刊妊娠塾という不妊治療関係のネットメディアを運営している。また、不妊治療関係の企業へのコンテンツ提供を行っている。

2002年より、オールアバウトの不妊治療ガイドとして16年間執筆・編集に従事。その他にも不妊に関する多くの著書、映画、調査などのアドバイザーとして関わる。

不妊治療の取材で訪れたクリニックや病院、関係施設は300を超え、日本で最も不妊関係の取材を行っている一人である。現在もその姿勢は変わらない。

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