何のために歯を磨きますか?~「歯磨きの向こう側」にあるものを一度考えてみませんか~

最終更新日:2022年9月25日

「今の皆さんの口の中に何かトラブルや気になることはありますか?」と聞かれたらなんと答えますか?

 

「全く気になるところはありません」と自信を持って答える人も中にはいますが、ほとんどの人はトラブルや気になるところがあるはずです。

 

口臭が気になる・痛い歯がある・詰め物が取れている・歯を抜いたままにしているところがある・入れ歯が合わない・差し歯の色が気になる・前歯を治療したが形がいまいちだ・笑うと銀歯が見えるのが嫌だ・歯並びが気になる・入れ歯が合わない・入れ歯を使っているのがバレるのが嫌だなど診療室では毎日のように患者さんが訴えます。

 

では気になるところがあるのに「なぜ歯医者に行かないのですか?」と質問すると次のような答えが返ってきます。

 

以前、歯医者で痛い思いをしたので行きたくない・治療費が高い・お金がない・仕事が忙しいので歯医者に行く時間がない・近くに歯医者がない・回数がかかる・予約の時間に行っても待たされる・歯磨きのやり方が悪いと怒られるので行きたくない・など歯科治療を提供する側として反省しなければならないことも指摘されます。 

 

日本人の歯は汚くて歯に対する意識は低いと言われますが、決して意識していないわけではなく「気になっているし、治療しなければならないと思っているが、行動できない」といった感じです。

 

 

さらに「ちゃんと歯磨きをしなかったから自分の口の中がこのような状態になってしまった」「もっと若い時から歯を大切にしておけばよかった」「こんなになる前にちゃんと治療をすればよかった」と続きます。

 

驚くことに、患者さん自身が「なぜこんなに歯を悪くしてしまったのか」という原因と、「こんなにひどくなる前にやっておけばよかった」というやるべきだった行動も理解しています。

 

自分の人生に起こる多くの出来事には原因があり、原因があるからこそ結果に繋がると言われますが、「歯」に関しても同じことが言えるでしょう。

 

では、原因も結果も分かっているのに行動出来ない理由は何でしょうか?

 

【人生には限りあるということ。そして限りある人生を自分らしく生きるためには「健康な体」が欠かせないということ。「健康な体」を作るためには食事が必要であり、食べるためには「歯」が重要な役目をしている】という単純なことを理解できていないからかもしれません。

 

私たち歯科医師は毎日の診療の中で、患者さんが歯の事で後悔する姿を見ています。

 

患者さんに後悔して欲しくないので歯のことについてしつこく、そして口うるさく何度も言うのは、歯を失うことは健康を失うこと、そして健康を失うことは人生の終盤に差し掛かった時に豊かな時間を過ごせなくなるということを「歯と健康で後悔している患者さんたち」から学んでいるからなのです。

 

歯科医院を受診する度に歯科医師や歯科衛生士から説教される(笑)「歯磨き」。

 

「磨きの向こう側」にある健康と人生についてほんの少しだけ考えてみたら、今日からの歯磨き習慣が新しいものに変わるかもしれませんね。

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執筆者
池上文尋

池上文尋

北里大学獣医学部 動物資源科学科卒 
大学時代、現在、人に使われている生殖医療の基本技術を学ぶ。
卒業後、外資系製薬企業に所属し、12年間、製薬企業のマーケティングスタッフとして勤務する。(ノバルティス・メルクセローノ・ファイザー)

特にセローノでは不妊治療に使うホルモン剤を中心に扱っていたので、不妊治療に関わる先生方と深く関わることになった。

2000年7月に株式会社メディエンスを設立、日本全国の産婦人科クリニックや病院の広報やブランディングをサポートする事業を開始。また、製薬企業向けのポータルサイトを制作、製薬企業のスタッフ教育に関わる。

不妊治療に造詣が深く、妊娠力向上委員会、胚培養士ドットコム、日刊妊娠塾という不妊治療関係のネットメディアを運営している。また、不妊治療関係の企業へのコンテンツ提供を行っている。

2002年より、オールアバウトの不妊治療ガイドとして16年間執筆・編集に従事。その他にも不妊に関する多くの著書、映画、調査などのアドバイザーとして関わる。

不妊治療の取材で訪れたクリニックや病院、関係施設は300を超え、日本で最も不妊関係の取材を行っている一人である。現在もその姿勢は変わらない。