名医とはなんだろう?(3)~インフォームド・コンセント“五箇条”
「被告は治療行為のリスクを患者に説明することを怠った」――これはドラマ『白い巨塔』で唐沢寿明扮する主人公の財前五郎が敗訴するシーンの台詞です。
その当時、放送を見逃したので、DVD発売後に毎週のようにTSUTAYAに通っていたことを思い出します。その後、医療訴訟の専門家をインタビューした際に教えていただいた「インフォームド・コンセント“五箇条”」がとても印象に残っています。
“五箇条”は福島県保健福祉部の「医療相談事例集」に紹介されていましたが、現在は残念ながら非公開となっています。
(1)病気等の名前、症状
(2)予定する治療等の内容
(3)治療等のメリット、デメリット
(4)治療しない場合の見通し
(5)他に選択可能な治療法がある場合の内容と利害損失
医療提供者側がこの五箇条を実行しなければ、訴えられたら負ける可能性が高く、患者側がこの五箇条を知る権利があるというわけです。
最近では、ブルーレターの発出が目立ちますが、副作用リスクの高い薬剤については、この“五箇条”についてより一層注意しなければならないでしょう。
<ブルーレター(安全性速報)>
https://www.pmda.go.jp/safety/info-services/devices/0092.html
福島県の「医療相談事例集」は現在閲覧できなくなっていますが、他地域の相談事例集が公開されています。
◎長崎県の事例集◎
https://www.pref.nagasaki.jp/bunrui/hukushi-hoken/iryo/iryou-soudan/soudanjireisyu/
掲載されている相談事例を読むと、「インフォームド・コンセント“五箇条”」を実践していれば、ほとんど起きることのないトラブルです。
副作用の規模に関係なく、“五箇条”をしっかりと徹底できる医師が良医だと思います。