名医とはなんだろう?(3)~インフォームド・コンセント“五箇条”

最終更新日:2020年7月14日

「被告は治療行為のリスクを患者に説明することを怠った」――これはドラマ『白い巨塔』で唐沢寿明扮する主人公の財前五郎が敗訴するシーンの台詞です。

 

その当時、放送を見逃したので、DVD発売後に毎週のようにTSUTAYAに通っていたことを思い出します。その後、医療訴訟の専門家をインタビューした際に教えていただいた「インフォームド・コンセント“五箇条”」がとても印象に残っています。

 

“五箇条”は福島県保健福祉部の「医療相談事例集」に紹介されていましたが、現在は残念ながら非公開となっています。

 

(1)病気等の名前、症状

(2)予定する治療等の内容

(3)治療等のメリット、デメリット

(4)治療しない場合の見通し

(5)他に選択可能な治療法がある場合の内容と利害損失

 

医療提供者側がこの五箇条を実行しなければ、訴えられたら負ける可能性が高く、患者側がこの五箇条を知る権利があるというわけです。

 

最近では、ブルーレターの発出が目立ちますが、副作用リスクの高い薬剤については、この“五箇条”についてより一層注意しなければならないでしょう。

 

<ブルーレター(安全性速報)>

https://www.pmda.go.jp/safety/info-services/devices/0092.html

 

 

福島県の「医療相談事例集」は現在閲覧できなくなっていますが、他地域の相談事例集が公開されています。

 

◎長崎県の事例集◎

https://www.pref.nagasaki.jp/bunrui/hukushi-hoken/iryo/iryou-soudan/soudanjireisyu/

 

掲載されている相談事例を読むと、「インフォームド・コンセント“五箇条”」を実践していれば、ほとんど起きることのないトラブルです。

 

副作用の規模に関係なく、“五箇条”をしっかりと徹底できる医師が良医だと思います。

  • この記事に関するご感想・ご意見・お問い合わせなどがございましたら、ぜひご記入ください。ご記入頂いた皆様の中から毎月10名の方に編集部よりお楽しみプレゼントを送らせて頂きます。
執筆者
川越 満

川越 満

【プロフィール】
川越 満(かわごえ みつる)
木村情報技術株式会社コンサナリスト®事業部 事業部長
1970年、神奈川県横浜市生まれ。1994年米国大学日本校を卒業後、医薬品業界向けのコンサルティングを主業務とするユート・ブレーンに入社。2016年4月からは、WEB講演会運営や人工知能ビジネスを手掛ける木村情報技術で出版及び研修コンサルティング事業に従事している。コンサルタントとジャーナリストの両面を兼ね備える「コンサナリスト®」として、講演活動、書籍の出版プロデュースなどで活躍中。医療・医薬品業界のオピニオンリーダーとして、朝日新聞夕刊の『凄腕つとめにん』、マイナビ2010『MR特集』、女性誌『anan』など数多くの取材を受けている。一般向け書籍の三部作、『病院のしくみ』『よくわかる医療業界』『医療費のしくみ』(以上、日本実業出版社、共著)はいずれも10年以上にわたって増刷を続けているロングセラー。2016年7月に木村情報技術から『地域包括ケアとは、○○である』を出版。同書の出版を機に医師向けの講演会出演が増え、2018年以降は年間50回以上の医師・薬剤師向け講演会に出演した。2017年2月には『One Patient Detailing実践ガイドブック』を監修。最新刊は『2020-2021年度版<イラスト図解>医療費のしくみ』(日本実業出版社、共著)。2020年から地元横浜でのコミュニティ活動と小説執筆活動をスタートさせた。