『女性ホルモンの分泌と口腔内環境の変化・口臭への影響について』 ~知っているようで知らない女性ホルモンとお口の関係~

最終更新日:2022年2月18日

女性の一生は「ホルモンのジェットコースターに乗っている」と言われるほど「女性ホルモン」に影響されます。健康はもちろんですが、精神面にも大きく関係してきます。

 

しかし、女性ホルモンの役割は知っているようで知らないことも多いのではないでしょうか。女性が一生付き合っていかなければならない「女性ホルモン」との付き合い方を知って、健康で美しく年齢を重ねていきましょう。

 

人の体には100種類以上のホルモンがあり、これらのホルモンは私たちの体の働きを調整してくれます。ホルモンの量は多すぎても少なすぎてもダメで、「量と質のバランスがとれていること」が重要です。

 

100種類以上もあるホルモンの中で、女性特有の臓器である「卵巣」で作られているのが「女性ホルモン」です。女性ホルモンには【エストロゲン】別名『卵胞(らんぽう)ホルモン』と【プロゲステロン】別名『黄体(おうたい)ホルモン』の2種類があります。

 

主に【エストロゲン】は妊娠の準備を【プロゲステロン】は妊娠の維持という役割を任っていますが、【エストロゲン】は自律神経のバランスを整える作用もあります。唾液の分泌は自律神経を整える【エストロゲン】の作用を受けやすいため、男性に比べて女性の方が口臭トラブルが多くなります。

 

女性は初潮を迎える思春期、妊娠可能な性成熟期、閉経が近づく更年期、閉経後の老年期という各ステージで女性ホルモンの影響を受け続けます。

 

従って、男性よりも口臭のリスクがある、ということを常に意識して口腔ケアをしていく必要があります。口臭を意識してケアすることは、むし歯や歯周病の予防にも繋がり、「自分の歯を自分で守る」ことに直結します。むし歯や歯周病を予防することは、口臭の予防にもなるのです。

 

定期健診を欠かさない。自分にあったケア用品を使う。このふたつを実行するだけでも3年後、5年後に「続けてきてよかった」と効果を実感するはずです。

 

 

女性の場合、基礎化粧品やメイク用品、ヘアケア製品にこだわっている方も多いと思います。自分が納得するメーカーの製品を自分の意思で選んで使っているはずです。

 

メイクもヘアーもネイルも完璧なのに、歯だけボロボロ、という女性の患者さんに出会ったことがあります。「なぜその口腔ケア用品を使っているのですか?」とお聞きすると「スーパーで安かったからなんとなく」という答えが返ってきました。言葉にはしませんでしたが「メイクやヘアーやネイルはそんなにこだわっているのに、なぜ口腔ケア用品だ適当に選んでいるのだろう」と心の中で突っ込んでしまいました。

 

また、美容院には1年間に数万円から十数万円もの費用をかけているのに、歯のお手入れの費用は1年間で数千円、歯ブラシと歯磨剤だけをスーパーで購入しているという方も珍しくありません。

 

いつお会いしても美しく、笑顔とパワーに満ち溢れているお金持ちの女性経営者にこんなお話を聞いたことがあります。「私は初対面の人にお会いしたら、必ず【髪、爪、歯】をチェックすることにしているの。見える所(メイク)にだけ気を使っている人が多いけれど、細部にまでこだわりがあるかどうか、普段どんな生活をしているかが分かるからね。」

パサパサの自分の髪に気が付き思わずドキッとしました。

 

年齢に関係なく、女性はいつまでも若く、そして綺麗でいたいと願っています。「女性ホルモン」とどのように付き合っていくか?女性ホルモンに左右される「口臭」をどのようにケアしていくか?そのためには「歯科医院をどうやって活用するか?」。

 

1年後、3年後、5年後に若々しく綺麗なままでいられるか、あるいは残念なことになっているか。この差は、現在の口腔ケアが大きく関係してきます。

 

もし「1年以内に美容院には行ったが、1年以上歯のケアはしていない」という方がいらっしゃったら、すぐに歯科医院の予約を取って歯のお手入れをお勧めします。

 

 

コラムニスト:大澤優子

株式会社ケロル 代表取締役
歯科医師

八戸市出身。岩手医科大学歯学部卒業後10年の勤務医生活を経験し、その後大澤歯科医院副院長となり現在に至る。

医院とスタッフのマネジメント、子育てで悩んでいた40代で個性心理學と出会い、個性心理學認定講師として一部上場企業、歯科デーラー、小児科医院などでの講演を多数行っている。

青森市大澤歯科医院「ママさん歯科医師Dr. YUKO」のブログで女性歯科医師としての目線で、日々の診療、働く女性として、子育てのことなどを発信中。

●青森市大澤歯科医院「ママさん歯科医師Dr. YUKO」のブログ
https://ameblo.jp/dr-yuko0610/

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執筆者
池上文尋

池上文尋

北里大学獣医学部 動物資源科学科卒 
大学時代、現在、人に使われている生殖医療の基本技術を学ぶ。
卒業後、外資系製薬企業に所属し、12年間、製薬企業のマーケティングスタッフとして勤務する。(ノバルティス・メルクセローノ・ファイザー)

特にセローノでは不妊治療に使うホルモン剤を中心に扱っていたので、不妊治療に関わる先生方と深く関わることになった。

2000年7月に株式会社メディエンスを設立、日本全国の産婦人科クリニックや病院の広報やブランディングをサポートする事業を開始。また、製薬企業向けのポータルサイトを制作、製薬企業のスタッフ教育に関わる。

不妊治療に造詣が深く、妊娠力向上委員会、胚培養士ドットコム、日刊妊娠塾という不妊治療関係のネットメディアを運営している。また、不妊治療関係の企業へのコンテンツ提供を行っている。

2002年より、オールアバウトの不妊治療ガイドとして16年間執筆・編集に従事。その他にも不妊に関する多くの著書、映画、調査などのアドバイザーとして関わる。

不妊治療の取材で訪れたクリニックや病院、関係施設は300を超え、日本で最も不妊関係の取材を行っている一人である。現在もその姿勢は変わらない。

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