「電動歯ブラシ」のススメ~コストパフォーマンスと時間効率を考えて、文明の利器を生活に取り入れてみませんか~

最終更新日:2024年3月20日

皆さんは「電動歯ブラシ」をご存じですか?家電量販店やドラッグストアでも販売されており、既に使っているという方も多いかも知れません。電動歯ブラシには色々な種類がありますが代表的なタイプに「回転式」と「音波振動式」があります。

 

 

「回転式」は円状のブラシが左右にグルグル回り、歯を1本ずつ丁寧に磨くのに適しています。「音波振動式」は回転式より刺激が少ないため歯や歯ぐきに優しく、回転式の動きが苦手な方に適しています。

 

 

歯科医師になって30年。もちろん電動歯ブラシの存在は知っていましたが、以前の電動歯ブラシは重い、大きい、音がうるさいというデメリットがあり、電動歯ブラシについてはどちらかといえば懐疑派でした。

 

今年に入り予防歯科分野では日本を代表する大学の教授と電動歯ブラシの話をする機会がありました。

 

私は電動歯ブラシについて懐疑的であることを教授にお伝えすると、「大澤先生、今はどのメーカーの電動歯ブラシも以前とは比べものにならないくらい進化していますよ。特に60代以上の人は使った方がいいと思います。」と教えてくれました。

 

なぜ60代以上の人に電動歯ブラシがお勧めなのか理由をお聞きすると、60代に突入すると(もちろん今の60代は皆さんお若いのですが)白内障、緑内障などの視力の問題で細かいもの(11本の歯)が見えにくくなる、加齢によって肩、ひじ、手首、指先などを動かしにくくなるなど身体的な問題が出てくるからだそうです。

 

私の知人も白内障でものがはっきり見えにくくなり、歯のメンテナンスの時に歯科衛生士に「ここに磨き残しがあります」と言われてもどこなのかわからなかったと言っていました。また別の知人は「五十肩」になり症状が酷い時は歯磨きをするのが辛かったと言っていました。(誰もがいつかは通る道なのですが。。。)

 

(大学の教授という立場上、特定のメーカーのみを推薦するというのはあまり好ましいことではありませんので)個人的にお勧めのメーカーの電動歯ブラシと型番を教えてもらい、早速取り寄せて使ってみました。

 

 

数十年ぶりに使った電動歯ブラシの使い心地は「なぜ、こんないいものを今まで使わなかったのだろう」と後悔するぐらい感動!でした。

 

11本の歯がツルツルになる仕上がりはもちろんですが、何よりも驚いたことは「短時間で隅々まで磨けること」でした。28本の歯を磨きあげるのに必要な時間はたったの2分。フロスを使ったとしても3分でケア終了です。普通の歯ブラシでは真似できない「時短効果」です。

 

電動歯ブラシによる「時短効果」。子育て中の保護者にこそお勧めしたいと思います。子育て中はとにかく時間がないので自分の事が後回しになってしまいます。子育てが一段落したら歯がボロボロなどということもよくあるケースです。

 

電動歯ブラシを上手く使うためにはいくつかのコツがあります。まずは、普通の歯ブラシと同様に電動歯ブラシもヘッドの交換が必要です。普通の歯ブラシは1か月ごとに交換が必要ですが、電動歯ブラシのヘッドは使用時間にもよりますが、3か月ごとに交換が必要です。

 

次に歯磨剤ですが、歯磨剤が飛び散らず歯の表面を傷つけない泡立ちにくいジェル状の研磨剤不使用のタイプがお勧めです。

 

電動歯ブラシはメリットが多く、一人でも多くの方に使っていただきたいのですが、価格が高価だということがデメリットです。

 

私が使用している電動歯ブラシは「回転式」で、14000円ほどです。替えブラシが11000円だとすると3か月に1度交換して1年で1000円×4本=4000円となります。

 

単純な計算ですが、1年間に14000円+4000円=18000円かかるとします。(充電のための電気代は除く)

 18000円÷12か月=(1か月)1500

 1500円÷30日=(1日)50

 

12回、朝晩自宅で電動歯ブラシを使用したとして50円÷2回=(1日)25円、つまり1回歯磨きをすると25円のコストがかかります。

 

本体は機械なので使い方によって差が出ますが、35年間は使用可能と言われています。替えブラシは常に必要ですが、本体は一度購入したら数年間は使うことができます。また、替えブラシを家族分用意したら本体はひとつで家族全員が使うことができます。

 

電動歯ブラシは数千円のものから数万円のものまで多種多様です。値段が安いものが性能に問題があるわけではありませんが、ブラウン社(ドイツ)「Oral-Bシリーズ」、フィリップス社(オランダ)「ソニッケアーシリーズ」、パナソニック社(日本)「ドルツシリーズ」などが歴史も長く日本におけるシェアのほとんどを占めています。

 

各メーカーともにグレードをかなり細かく分けてシリーズで販売しています。最上位機種の中には人口知能搭載を搭載しスマホと連動して磨き残しを教えてくれるものなどがあり、価格も50000円を超えるものも発売されています。しかし、実際問題として初めて使う電動歯ブラシを50000円で購入するというのはかなりハードルが高いと思います。

 

電動歯ブラシ初心者であれば、コストパフォーマンスも性能も満たしてくれる「ミドルクラス」と言われる10000円台の電動歯ブラシからチャレンジしてみるのがいいかもしれません。

 

コラムニスト:大澤優子

株式会社ケロル 代表取締役
歯科医師

八戸市出身。岩手医科大学歯学部卒業後10年の勤務医生活を経験し、その後大澤歯科医院副院長となり現在に至る。

医院とスタッフのマネジメント、子育てで悩んでいた40代で個性心理學と出会い、個性心理學認定講師として一部上場企業、歯科デーラー、小児科医院などでの講演を多数行っている。

青森市大澤歯科医院「ママさん歯科医師Dr. YUKO」のブログで女性歯科医師としての目線で、日々の診療、働く女性として、子育てのことなどを発信中。

●青森市大澤歯科医院「ママさん歯科医師Dr. YUKO」のブログ
https://ameblo.jp/dr-yuko0610/

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執筆者
池上文尋

池上文尋

北里大学獣医学部 動物資源科学科卒 
大学時代、現在、人に使われている生殖医療の基本技術を学ぶ。
卒業後、外資系製薬企業に所属し、12年間、製薬企業のマーケティングスタッフとして勤務する。(ノバルティス・メルクセローノ・ファイザー)

特にセローノでは不妊治療に使うホルモン剤を中心に扱っていたので、不妊治療に関わる先生方と深く関わることになった。

2000年7月に株式会社メディエンスを設立、日本全国の産婦人科クリニックや病院の広報やブランディングをサポートする事業を開始。また、製薬企業向けのポータルサイトを制作、製薬企業のスタッフ教育に関わる。

不妊治療に造詣が深く、妊娠力向上委員会、胚培養士ドットコム、日刊妊娠塾という不妊治療関係のネットメディアを運営している。また、不妊治療関係の企業へのコンテンツ提供を行っている。

2002年より、オールアバウトの不妊治療ガイドとして16年間執筆・編集に従事。その他にも不妊に関する多くの著書、映画、調査などのアドバイザーとして関わる。

不妊治療の取材で訪れたクリニックや病院、関係施設は300を超え、日本で最も不妊関係の取材を行っている一人である。現在もその姿勢は変わらない。

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