第2回『歯で困らない賢い患者になるために』 歯科医院に行くのが嫌で歯の問題を先送りしてしまっている方へ

最終更新日:2021年6月10日

皆さんは歯科医院に行くのが好きですか?それとも嫌いですか?

 

「歯医者の治療は回数がかかるし、治療費が高い」「痛みがなくなり腫れが引けばそれでよい」と思っている方が多いことに驚かされます。「歯医者なんて大嫌いだし、行きたくない」と答えた方はもしかすると正しい情報を知らないために時間とお金を損している患者さんかもしれません。

 

歯科の2大疾患であるカリエス(むし歯)と歯周病。この2つの単語を聞いたことがない、知らないという人もほとんど存在しないと思います。医学がこんなにも発達した現代社会でも「原因不明」の病気はまだまだたくさんあります。例えば肺がんの原因にタバコがあげられますが、タバコを吸わない人でも肺がんになります。また治療方法が確立されていない病気もたくさんあります。

 

歯科で治療するカリエス(むし歯)と歯周病は原因と治療方法が確立されています。原因となる菌を体内に入れないようにする、もし口の中で原因菌が増えたらコントロールする、病気になったら早めに治療をする。この3つを実行することで「歯」を失うリスクを少なくすることができます。「歯」を失うリスクを少なくすることは時間もお金も少なくて済むということなのです。

 

カリエス(むし歯)の原因となる菌を体内に入れないようにするには、幼少期からの予防が必要になります。お子さんは自分の意志で歯科医院に来ることが出来ません。残念なことですが保護者の歯に対する知識と家庭環境、経済状態によって大きく左右されるため自分では選択の余地がありません。

 

社会人になって自分の意志で歯科医院に通院することができるようになってからが、「将来歯で困るか、困らないか」の運命の分かれ目なのです。しかし、社会人になると仕事やプライベートが優先され、治療が必要な歯があることはわかっているが通院時間が確保できないということもしばしばです。ついつい歯の問題を先送りしてしまうのです。

 

もし、生死に関わる健康上の問題が発生したらどうでしょう。仕事を休んででもあるいは他のことを後回しにしてでも通院するのではないでしょうか。歯科治療は生死に関わることは少ないのですが人生の後半戦に突入し始めたころから「人生の質」に大きく関係してきます。認知症や寝たきりになるのはイヤだがそうならないための努力をするのは面倒だ、というのは少々勝手すぎるかもしれません。

 

人生の後半戦を豊かなものにするためには「健康」が必要です。「健康」でいるためには「時間」と「お金」というコストがかかるのです。現在抱えている歯科的問題を早期に解決すること、なるべく歯科的問題を抱えないようにすることこそがコストを少なくすることに繋がります。

 

問題を先送りしても何の解決にもなりません。先送りすればするほど事態は悪化するばかりなのです。問題を先送りした結果が「歯医者の治療は回数がかかるし、治療費が高い」という結果なのです。

 

長引くコロナ禍で私たちが長い間当たり前だと思っていたことが激変しました。

 

歯で困らない賢い患者になるために、「悪くなってから治療に時間とお金をかける」から「なるべく悪くならないように予防に時間とお金をかける」にパラダイムシフト(今までは常識で当たり前だと思っていたことが大きく変わること)が求められる時代になりました。

 

 

コラムニスト:大澤優子

株式会社ケロル 代表取締役
歯科医師 

八戸市出身。岩手医科大学歯学部卒業後10年の勤務医生活を経験し、その後大澤歯科医院副院長となり現在に至る。

医院とスタッフのマネジメント、子育てで悩んでいた40代で個性心理學と出会い、個性心理學認定講師として一部上場企業、歯科デーラー、小児科医院などでの講演を多数行っている。

青森市大澤歯科医院「ママさん歯科医師Dr. YUKO」のブログで女性歯科医師としての目線で、日々の診療、働く女性として、子育てのことなどを発信中。

 

●青森市大澤歯科医院「ママさん歯科医師Dr. YUKO」のブログ

https://ameblo.jp/dr-yuko0610/

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執筆者
池上文尋

池上文尋

北里大学獣医学部 動物資源科学科卒 
大学時代、現在、人に使われている生殖医療の基本技術を学ぶ。
卒業後、外資系製薬企業に所属し、12年間、製薬企業のマーケティングスタッフとして勤務する。(ノバルティス・メルクセローノ・ファイザー)

特にセローノでは不妊治療に使うホルモン剤を中心に扱っていたので、不妊治療に関わる先生方と深く関わることになった。

2000年7月に株式会社メディエンスを設立、日本全国の産婦人科クリニックや病院の広報やブランディングをサポートする事業を開始。また、製薬企業向けのポータルサイトを制作、製薬企業のスタッフ教育に関わる。

不妊治療に造詣が深く、妊娠力向上委員会、胚培養士ドットコム、日刊妊娠塾という不妊治療関係のネットメディアを運営している。また、不妊治療関係の企業へのコンテンツ提供を行っている。

2002年より、オールアバウトの不妊治療ガイドとして16年間執筆・編集に従事。その他にも不妊に関する多くの著書、映画、調査などのアドバイザーとして関わる。

不妊治療の取材で訪れたクリニックや病院、関係施設は300を超え、日本で最も不妊関係の取材を行っている一人である。現在もその姿勢は変わらない。

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