透析技術認定士による透析の基礎の基礎~透析を知ることでカラダを労わることを意識しよう「食事療法について」~
こんにちは!
猛暑が続く中、コロナ対策と脱水対策を同時進行していかないとなりませんね。
青森ドクターズネットコラム「透析技術認定士による透析の基礎の基礎~透析を知ることでカラダを労わることを意識しよう~」第二弾「食事療法について」一緒に学んでいきましょう。
透析レシピ
これだけは知っておきたい食事管理のポイント
透析療法を始めたら、今までのように自由な食事ができない・・・とがっかりしませんか?
そんなことはありません
水分や線分、カリウム、リンなどの取り過ぎに気をつけ、エネルギー源や栄養素をうまく補給するといった食事療法のポイントさえ守っていれば食事を楽しむことができます。
食事療法のポイントをまとめてみました。
ポイント1
栄養状態を良好に保ちましょう(やせないようにしましょう)
透析患者さんの予後を良好に保つためには、栄養状態を保つことが重要であることがわかっています。からだがどんどんやせてしまう・・・という方がいたら「栄養状態が悪くなっている」「食事量が足りていない」可能性があります。
十分な栄養(食事)を摂り、適正な運土を行うことが重要です。
ポイント2
食塩の摂りすぎに注意し、水分摂取量を守りましょう
食塩の摂りすぎはなぜいけないの?
食塩を過剰に摂取すると、のどが渇き、水分の過剰摂取につながります。その結果、体内に余分な水分がたまり、血液透析の除水量が増加すると、透析中の血圧が下がり、体調が悪くなることがあります。また、血液中の水分量が増えることから。高血圧を引き起こす原因にもなります。
腹膜透析の患者さんの場合、除水量を増やすために透析液の濃度を高くします。その結果。腹膜への負担が大きくなります。
快適に透析を行うためには、塩分を摂りすぎないことが大切です。
減塩の工夫は?
醤油やソースなどはそのままかけずに、小皿にとり、つけて食べるようにしましょう。
レモンやゆず、酢などの酸味やからしなどの香辛料を上手に使いましょう。
汁物や漬物、加工食品には食塩が多く含まれているため、控えましょう。
減塩しょうゆは食塩を効果的に抑えることができます。
(塩分量は通常のしょうゆの約半分です)
とくに外食は塩分が多いです。麺類や丼物よりは定食を選ぶと良いでしょう。
水分摂取量の目安は?
なぜ水分を制限しなければならないの?
水分を摂りすぎてしまうと、体内に余分な水分がたまり、除水量を増やすためにからだに負担をかけてしまいます。食塩と同様摂りすぎには注意が必要です。
水やお茶などで飲む水分には、1日あたり600~700mlに抑えましょう。
詳しい目安は担当医師の指示を確認し摂取量を守りましょう。
食べ物の水分にもご注意!!
水分は、食事の中にも含まれています。麺類やなべ物、雑炊やシチューなどは水分の多い料理です。
ポイント3
カリウムの摂取量に注意しましょう
すべての患者さんが一律ではありません。定期的に行われている血液検査の結果で血清カリウム値を確認し、高カリウム血症であればカリウムを多く含む食品は控えるようにしましょう。
カリウムを多く含む食品は?
カリウムはほとんどの食品に含まれています。とくに注意が必要な食品には果物(バナナ・メロン・キウイ・フルーツ)や野菜、いも類などがあります。
また、野菜汁や果汁100%のジュースやドライフルーツカリウムが濃縮されています。少量でもカリウムを摂ってしまいますので控えましょう。
カリウムを減らすための調理の工夫は?
野菜は茹でこぼしすることでカリウムを減らすことができます。
野菜は細かく切って水にさらしましょう。
果物は缶詰を利用しましょう。
ポイント4
リンをコントロールしましょう
リンの摂取量を減らそうとして、たんぱく質の摂取量を過度に減らすと、栄養状態だけでなく筋肉量や筋力の低下が問題となります。十分なたんぱく質を摂取し、定期的な血液検査の結果で血清リン値を確認し、高リン血症であれば食事からの過剰なリンの摂取量を控えるようにしましょう。
リンを多く含む食品は?
乳製品・・・牛乳、ヨーグルト、チーズなど
魚卵・・・たらこ、すじこ、いくら
加工食品・・・ハム、ソーセージなど
医師からリン吸着剤を処方されている方は、飲み忘れがないようにすることや、服薬時間を守りましょう。
まとめ
食事のとり方によって合併症を引き起こすことがあります。
特にカリウム値が高いと心停止になります。
リンは血管の石灰化など様々合併症のリスクを招きます。
食事は生きるために必要なことです。食べる量が重要なんですよね。
簡単なように思えますが難しい課題ですね。
一人で判断せず、周りの方や医療従事者、栄養士からアドバイスや相談をしてみては
どうでしょうか?
これから猛暑になります。食欲低下になりがちですが食材をよく選んで摂取して
熱い夏を乗り越えましょう。