生きていくための「コスト(費用)」について考えてみませんか~そのお金は「生き金」ですか?「死に金」ですか?~

最終更新日:2023年9月26日

昨年から続く物価高。コロナ禍で社会活動が停滞していたところにウクライナ情勢が加わり日常生活にダメージを与え続けています。

 

さらに昨年の冬からの電気代の高騰にも頭を抱えてしまいます。今年の夏はエアコンにスイッチを入れる手を思わず止めて、家じゅうの窓を開ける機会が増えるかもしれません。

 

現在は落ち着きましたが、コロナがまん延しはじめた頃マスクが手に入らなかったように、ウクライナ情勢がするにつれて、診療に必要な歯科材料の輸入が一時ストップしてしまい、毎日在庫を確認しながらいつ在庫が底をつくのかヒヤヒヤしていました。

 

 

島国である日本に住んでいるということは、身の回りの多くのものを海外からの輸入に頼らなければならないということを思い知らされています。

 

日常生活を営むための「コスト(費用)」については皆さんとても敏感に反応します。いつものスーパーでいつも購入している生活必需品が数十円値上がりしたらすぐに気がつくことでしょう。食料品のほかに電気、ガス、水道などのインフラ(日常の生活を支える基盤)の価格の変化にも反応することでしょう。

 

日常生活を営むためのコストには敏感ですが、それ以外の生きるための費用、特に「健康」に関しての費用には無頓着な人が多いように感じます。あまり意識したことがないかもしれませんが、健康な心と体を維持するためには費用がかかるのです。

 

例えば歯科の定期健診。皆さんが最後に歯科医院で定期健診をしたのはいつでしょうか?このまま定期健診をすることなく過ごしたら、むし歯や歯周病になる可能性が高くなります。

 

もしむし歯や歯周病になった場合は治療が必要になります。治療が必要になった場合は当たり前のことですが治療費がかかります。歯科治療の特徴として、症状が軽ければ治療費も治療期間も少なくて済みますが、症状が重ければ重いほど治療が大掛かりになってしまいます。

 

 

「自分の歯にいつお金をかけますか?」と質問されたら何と答えますか?

 

「痛くなって治療が必要になったら歯科医院にお金を払う」と答える人がほとんどでしょう。

では質問の「歯」の部分を「健康」に変えて「自分の健康にいつお金をかけますか?」と聞かれたらなんと答えますか?

 

「病気になっても困らないように医療保険やがん保険にお金をかけているから大丈夫」と答えるのでしょうか(笑)。もちろん私も最低限の医療保険には加入していますが、できることならお世話にならずに(=病気にならずに)過ごしたいと思っています。

 

生きている間に同じ額のお金を使うのであれば、病気になってからの治療費や通院のための交通費にお金を使うのではなく、病気になる前に健康を維持するためにお金を使いたいと思う人がほとんどなのではないでしょうか。しかし、残念ながら人は困難に直面した時に「あの時もっと○○をしておけばよかった」と後悔します。

 

診療室では毎日のように「もっと歯を大切にしておけばよかった」「ちゃんと定期健診に来ればよかった」という患者さんの後悔の言葉を耳にします。

 

自分の歯を大切にするためのケア用品や定期健診代などにお金をかけずに、治療にお金をかけてしまう患者さんが多いのは「お金使うタイミングを間違った」結果でもあります。

 

自分の健康を維持するためには費用がかかるということ、そのためには「いつお金を使うか?」ということを普段から考えておけば、残念なお金の使い方をすることが少なくなるでしょう。

 

「生き金」「死に金」という言葉があります。これから先、死ぬまで「お金の心配が全くない」という人を除き、ほとんどの人は使えるお金には限りがあります。

 

生きていく上で役に立たないマイナスの「死に金」ではなく、生きていく上で将来役に立つプラスの「生き金」になるよう意識してお金と上手く付き合っていきたいものですね。

 

コラムニスト:大澤優子

株式会社ケロル 代表取締役
歯科医師

八戸市出身。岩手医科大学歯学部卒業後10年の勤務医生活を経験し、その後大澤歯科医院副院長となり現在に至る。

医院とスタッフのマネジメント、子育てで悩んでいた40代で個性心理學と出会い、個性心理學認定講師として一部上場企業、歯科デーラー、小児科医院などでの講演を多数行っている。

青森市大澤歯科医院「ママさん歯科医師Dr. YUKO」のブログで女性歯科医師としての目線で、日々の診療、働く女性として、子育てのことなどを発信中。

●青森市大澤歯科医院「ママさん歯科医師Dr. YUKO」のブログ
https://ameblo.jp/dr-yuko0610/

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執筆者
池上文尋

池上文尋

北里大学獣医学部 動物資源科学科卒 
大学時代、現在、人に使われている生殖医療の基本技術を学ぶ。
卒業後、外資系製薬企業に所属し、12年間、製薬企業のマーケティングスタッフとして勤務する。(ノバルティス・メルクセローノ・ファイザー)

特にセローノでは不妊治療に使うホルモン剤を中心に扱っていたので、不妊治療に関わる先生方と深く関わることになった。

2000年7月に株式会社メディエンスを設立、日本全国の産婦人科クリニックや病院の広報やブランディングをサポートする事業を開始。また、製薬企業向けのポータルサイトを制作、製薬企業のスタッフ教育に関わる。

不妊治療に造詣が深く、妊娠力向上委員会、胚培養士ドットコム、日刊妊娠塾という不妊治療関係のネットメディアを運営している。また、不妊治療関係の企業へのコンテンツ提供を行っている。

2002年より、オールアバウトの不妊治療ガイドとして16年間執筆・編集に従事。その他にも不妊に関する多くの著書、映画、調査などのアドバイザーとして関わる。

不妊治療の取材で訪れたクリニックや病院、関係施設は300を超え、日本で最も不妊関係の取材を行っている一人である。現在もその姿勢は変わらない。

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