ヒト・コト(人事)日記②~「人事」の仕事は「ひとのこと」:人事管理と労務管理①~「労務管理」とは~
人のマネジメントには、「労務管理」と「人事管理」の2つがあります。よく「人事労務管理」と一緒くたに言い表すことがありますが、本来は別物として扱う必要があります。その理由は、必要な知識が違うからです。知識が違うということは、マネジメントの内容も勿論異なるので、その違いをきちんと押さえておく必要があります。
そこで、今回は「労務管理」について述べたいと思います。
「労務管理」とは、簡単に言うと「法令に基づいて、人を雇用すること」です。法令とは、労働基準法に始まり労働安全衛生法他、国が定めたもの、また自院の就業規則や給与規程他、それに付随する関連規程も含みます。
よって、「労務管理」は必ずやらなければならない人のマネジメントなのです。疎かにすることは、法令違反になりますので、きちんと管理できる知識が必要となります。多くのクリニックでは、社会保険労務士さんと顧問契約をしていると思いますが、それでも労務管理に関する知識はある程度抑えておく必要があります。
かつてクリニックでは、就業規則も給与規程も作っていないことが多かったと聞いています。労働基準法では、従業員が10名以上いる事業所では、労働基準法第89条の規定により、就業規則を作成して所轄の労働基準監督署に届け出なければならないとされています。しかし、昨今の従業員の労働への関心度から、スタッフが10名に満たないクリニックでも、就業規則や給与規程を整備しているところが増えてきています。
10名いるかいないかという人数の問題というよりは、労働基準法に従ってきちんと働く環境が整っているクリニックは、スタッフにとって安心して働ける職場の条件の一つとして見られることがあるからです。
法令で定められているからという理由はもちろんなのですが、よりよいクリニック運営を考えるならば、法令で定められていることをきちんと整備しておくことが、優秀なスタッフ、来てほしいスタッフ、いてほしいスタッフを呼び寄せる大切な職場環境整備の一つであることでもあるのです。
今の貴院の労務管理は、どこまでできていますか?