1981年東北薬科大学(現在の東北医科薬科大学)卒業。
卒業後10年間、医薬品メーカーの営業職として青森県を担当。
1991年有限会社テックを創業し、現在は調剤薬局8店舗を運営する。
青森県のスタートアップを応援しようと始まった「あお☆スタピッチ交流会」の第二回目が2020年の秋に開催されました。
そのコンテストに我々の会社「ミライテコ」も参加させて頂いたのですが、そこで見事3位になったテック調剤薬局の千葉社長にインタビューをさせて頂く機会を頂戴しました。
青森市を中心に8店舗の調剤薬局と介護&栄養相談所、レストランを展開するヘルスケアサポート企業の代表がどのようなことをお考えなのか聞いてまいりました。
それではインタビュー内容をどうぞ!
目次
薬剤師になられたきっかけについて教えてください。
当時は、薬剤師自体の認知度が今ほど高くはありませんでした。受験で医療系を狙って上手くいかないと薬学部に入るというパターンがあり、私もまさにそうでした。なので、薬学に対する思い入れが強かったわけではありません。とは言え、今になってみるとこれで良かったのだと思っています。
ご出身はどちらでしょうか。
岩手県盛岡市になります。メーカー勤務をしていたのですが、その担当が青森県だったこともあり、ご縁があって今に至っています。
当時の東北薬科大学(現在の東北医科薬科大学)出身なのですが、校風のせいなのか皆さん仲良くしている大学なので、同窓会のお手伝いもさせていただいています。今は同窓会青森県支部の支部長をしています。
このような状況の中、残念ながら大学訪問できませんが、それでも定期的に交流はあります。
大学卒業後、製薬メーカーに入られたのはなぜでしょうか。
当時は、薬剤師の資格があるのですぐに就職できるという時代ではありませんでした。もちろん、病院に入られる方もいましたが、薬局だと処方箋がほとんど出ていませんでしたので小売りが中心でした。そのような中で自分の適性を考え、メーカーで働いてみたいという気持ちがあったのだと思います。
10年間ずっと青森の担当でした。最初は弘前や五所川原などをまわっていましたが、そのあとに欠員が出たので八戸、十和田を担当し、結果的にはそちらの方が長くなりました。津軽が3年、南部は7年ほどになります。
小さなメーカーでしたので、入社当初は県内にMRが4人ほどしかいませんでした。そのため、かなり広範囲をまわっていたこともあり、地理的には随分強くなりました。
MRの仕事をしていて、良かったことはありますか。
今考えると、営業職をやっていてすごく良かったと思います。社会に出て、様々な場面において営業経験のおかげで対応することができますし、相手方に失礼にならないような考え方や行動を教えてもらい、人との輪が広がっていきました。事業をする上では、非常に役立っています。
MRは対お医者さんの仕事になりますので、特殊な営業だと今でも思っています。お医者さんに営業できるスキルというのは、他業種とは異なる部分ですよね。
テック調剤薬局は1991年に設立されたそうですが、そのきっかけについて教えてください。
八戸でMRをしていましたが、その時に前々からお世話になっていた先生が青森市で開業されることになりました。しかし、その先生は実は青森市に住んだことはなかったのです。
そうは言っても、当時の青森市は市場がかなり大きかったので、整形外科のドクターお二人で手術ができるクリニックを立ち上げるということでお声がけいただきました。
昔からずっと独立したいという気持ちは持っており、機会があればと考えていましたので、すぐ起業に踏み切りました。
テック調剤薬局として8軒展開されていますが、その経緯など教えてください。
様々なご縁で徐々に増えていった感じです。どの店舗も、お近くの先生が良い方ばかりなので幸せに展開することができました。
実は、途中に7年ほどブランクがあります。その時に何をやっていたのかというと、私自身が薬剤師としての仕事を行っていました。青森県はずっと薬剤師不足を抱えており、その真っ只中だったので、自分で調剤をしながら経営をしていました。
また、途中で薬剤師会の仕事に絡んだこともあり、調剤をしながら経営をし、そして薬剤師会の仕事もする中でかなり忙しく、それ以上の余力がなかったというのが本音です。
様々な取り組みをされていますが、詳しく教えていただけますでしょうか。
私のイメージでは、国として薬局はどうあるべきかと示してあるので、自分たちの創造や工夫する手前の段階として、国のハードルをまずは越えなくてはいけないと思っています。
国のビジョンとして、全ての薬局は、かかりつけ薬局になっていく方向ですが、その中でも地域で健康をサポートする薬局になるのか、それとも、専門の医療機関と連携してがん治療など高度医療に取り組む薬局になるのかという選択肢が出されています。そして私たちは健康をサポートする薬局を目指しています。
私たちが取り組んでいる健康サポート薬局には、そのエリアでのリーダー的な存在として活動していくという目標があります。私はそれを見た時、地域包括支援センターと似ていると感じました。地域包括支援センターのような形で健康づくりに入っていく可能性があるのかなと思っています。
そうなると今後、これを推進していかなければ地域の中では認められる薬局にはならないのではないかということで、健康サポート薬局を増やしました。
かなり手間がかかりますし、加算点数もありませんが、これをやる事で将来につながると考えています。
次に、介護に関してですが、実は私は第一回目のケアマネ試験に合格したペーパーケアマネです。薬局として人が増えてきた段階でケアマネの方も少し関わりたいと以前から思っていました。
しかし、いきなりケアマネができるわけではないので、研修の受け直しをして登録をし、社員にケアマネ経験者がいたので二人で事務所を立ち上げました。そうしたら、ケアマネの悩みも少しずつわかってきました。
それこそ、ケアマネはお医者さんとのコミュニケーションに不安を抱えている方が多いと感じました。
お医者さんは非常に忙しいので、あまり時間はかけたくない。だから、本当は介護の相談をされた時には信頼できる方がいれば繋げたいところだが、介護関係者との連携が上手く取れていないと難しい、それならそこにニーズがあるかなと思って始めました。
通常、居宅介護支援事業所は包括支援センターからの紹介で利用者さんにお会いしますが、うちの場合は、医師や薬局の依頼で患者さんの相談を受け包括支援センターに繋げるケースが多い気がします。
慢性期の薬を飲み続けている患者さんが高齢になり、生活に不便を感じ薬局窓口でご相談を頂く。薬剤師はケアマネにつなぎ、そこから問題を解決していくというスムーズな流れができれば良いかなと思っています。
そして、栄養についてですね。
私も店頭で服薬指導をしていましたが、食に関する質問はよく受けました。薬の説明が終わった後に、「じゃあ、何を食べたらいいの」と聞かれるのですが、こちらとしても通り一遍の話しかできません。管理栄養士がいた方が良いと考えスタッフに加わってもらったのですが、自分がイメージしている以上に優秀な方々でした。様々な知識を持っているので、管理栄養士を上手く活用できないかという想いで今の形になってきました。
管理栄養士が活躍できる場所を作りたいということで薬局内に日本栄養士会認定の「認定栄養ケア・ステーション」を設置し、健康と栄養を考える目的でT’s KITCHENというレストランを作ることにしました。
薬局経営からみても食の相談もできる事や敷地内にヘルシー食を提供するレストランがあることは差別化につながると思い一生懸命やっています。
青森の健康について、薬剤師の立場から感じるものはありますか。
データは持っていないのであくまでイメージになりますが、大柄でたくさん食べる方が多いのかなと感じています。食事に関して、あまり気にされていないという印象です。
また、ラーメン文化があるとも感じています。例えば、お昼ごはんを食べに行くときに野菜を食べたいと思っても、どこに行ったら良いのか出てこなかったです。自分の頭の中で考えても麺類はよく出てきますね。きっと、皆さんそうなのではないでしょうか。
これだけ野菜が採れる地域なのに、野菜摂取が足りないというのは面白いですよね。だから、自分でお店をやるなら野菜を思いっきりバリバリ食べられるところにしようと思っていました。
これからのビジョンをお聞かせください。
会社として、調剤薬局から健康づくりの企業へイメージ展開を始めているところです。そうすると、薬局以外の他の分野における健康づくりに関することもビジョンの中に入ってきますので、積極的に取り入れていきたいと思っています。
最後に、読者の方にメッセージをお願いします。
栄養のことを色々相談できる栄養ケア・ステーションを薬局の中に設置しました。今年の1月から個別の栄養相談(お食事診断)を事業として立ち上げました。
お食事診断は、食物摂取頻度調査という日頃の食事に関するアンケートや健康に関する質問に答えて頂く事でその方の食事や栄養の傾向が分かり、よりバランスの取れた食事になるためのアドバイスをいたします。今までの栄養相談はその方のデータが無いのでより深いお話が出来ませんでした。個人のデータを取る事でより踏み込んだアドバイスが出来るようになります。
1,500円という有料サービスですが、知らなかった食事の偏りや今後気を付ける点など健康にとってとても大切な知識になるのではないかと思っています。
テック調剤薬局各店とホームページから問い合わせできますのでご興味のある方はアクセスしてください。
<まとめ>
千葉社長は私と同じMRご出身ということで勝手に親近感を持ってお話をさせて頂きました。共通の友人や知り合いもいて、話が弾んだのもあります。
お仕事的には地域の住民の健康のため、そしてドクターの良きサポーターとしての務めを堅実に果たしてきて今の状況になっておられることを良く理解しました。
調剤薬局が介護の相談や栄養の相談、そしてレストランまで作るというのは健康と食の重要性の啓もうに力を入れ、出来るだけ健康寿命を増やしてほしいという願いも込めておられるのだなと感じました。
さて、2021年からは本格的に有料の「管理栄養士による栄養診断とアドバイス」を開始されます。
http://tech-ph.co.jp/pharmacy/suport/plan_i/
そこで青森ドクターズネットでは5人分の「管理栄養士によるお食事診断とアドバイスのモニター券」を特別にお譲り頂きました。
この記事をお読みの方で「ぜひ自分のお食事診断をしてみたい!」という方はぜひご応募ください。もちろん無料です。ただし、モニターとして取材協力をお願いしたいと思います。
応募フォームはこちら↓
https://forms.gle/H839Zf3m9hF3cJod9
<関連サイト>
テック調剤薬局