今回は、青森市内で歯科医院を開業されている石川佳和理事長にお話を伺いました。
一般的な歯科治療に加えて、審美義歯、独自の歯周病治療、顎関節症治療、インプラント治療など幅広く先進的な治療をされておられ、日々たくさんの患者さんが訪れています。
先生とは2013年にお知り合いになり、その当時から歯科医療について熱く語って頂いておりました。今回、青森ドクターズネットを制作するにあたり、歯科の最初の取材は石川先生にと思って、お願いしたところ、快くインタビューに応じて頂きました。
歯科治療に対するお考えや開業されたきっかけについて伺っております。ぜひ、ご覧くださいね。
鶴見大学歯学部卒業、歯科医師国家試験合格。
鶴見大学歯学部大学院歯学研究科修了(歯科補綴学専攻)、歯学博士。
鶴見大学歯学部助教(助手)。
日本鋼管病院勤務。桜川歯科医院開院。
医療法人愛和会開設、理事長。
日本補綴歯科学会専門医・指導医。
高濃度ビタミンC点滴療法学会認定。
臨床分子栄養学研究会特別認定指導医。
IADR、ICP、日本補綴歯科学会など、国内外の学会で発表、国際学会でプレゼンテーションアワード受賞、鶴見大学歯学部アワード受賞、東北地区歯科医学会賞5回受賞、青森県歯科医師会会員研修会賞5回受賞。
新聞掲載、テレビ出演など多数。
目次
歯科医になられたきっかけについて教えてください。
小学校6年生の時にインレーの治療を行なったのですが、半年後にまた痛くなり同じ歯医者さんへ行きました。その歯医者さんというのが、某国立大学の出身でしたので何の不安もなく受診したのですが、「歯の磨き方が悪いから、中で腐ってしまっている」と指摘されたのです。
その時、私は小学生ながらも、詰め物の中をどうやって磨いたらいいのだろうという疑問を抱きました。
それがずっと心残りでしたし、治療をしてもらったにも関わらず大学に入るまでずっと痛みが止まらなかったこと。さらに、高校受験を控えた頃に週3日ほど歯科医院に通っていたけれども、満足した歯科治療が受けられなかったこと。
左側が痛いので右でしか噛めず顎関節症にもなって満足に食事もできなくなってしまったことが重なり、これは自分が歯科医にならなければいけないと思ったことがきっかけです。
それに加え、これから迎える高齢化社会において、充実した生活を送るためには、噛み合わせの大切さ、義歯の需要が予想できたことも歯科医を選んだ理由の一つです。
歯科医になられた後、ご自身の歯の痛みは改善したのでしょうか。
歯の痛みは、大学歯学部に入学し恩師の教授から1ヶ月で治して頂きました。ただ、成長期の歪んだ噛み合わせによる顎関節症は、治ってはいませんでした。
私が大学にいた頃は顎関節症を治すには手術しかありませんでした。そんな時、口腔外科と補綴科がタイアップして顎関節症研究会を学内に作ったので、そこに参加することにしました。
当時の補綴学的な顎関節症治療は、オ–ラルリハビリテーションと言って、歯を全て削る治療が主流でした。
これだとリスクが高いですし、治療にかなりの金額がかかるだけでなく、治らないのです。
そこで、私は大学の図書館で顎関節症の論文を色々と探し、顎の運動だけで顎関節症を治しました。
顎関節症の影響で口が開かず、食事が十分に出来ないため体重も減ってしまっていたので、噛むということの重要性を再認識しましたね。
顎関節症の場合、夜寝る時にスプリントというプラスチックのマウスピースを口に入れますが、これで治るという保証はありません。では、なぜ入れるのかというと、顎関節症のほとんどの原因が歯ぎしりであり、これを防ぐために使われているのです。
一口に歯ぎしりと言っても、ガリガリと音がするものや、ぐっと噛みしめるタイプのものなど様々です。噛みしめる歯ぎしりの場合、起きている間は上と下の歯が接触している時間が20〜30分なのに対し、8時間寝ていたとしたら4時間も接触していることになるため、朝起きた時に咀嚼筋に疲労感があるのが特徴です。
なぜ、この場所で開業されたのでしょうか。
私はもともと開業する気持ちはなく、大学にずっと残るつもりでした。しかし、青森の方と結婚した縁でこの場所での開業話が持ち上がり、結果的に今に至っています。
大学にいた頃は、自分のやりたいことをやりなさいと言ってくれていた父親ですが、昨年の秋に母親が他界した際に「お前が青森にいてくれて良かった」と話していたのを聞いて、ここで開業して良かったと感じています。
また、このあたりは青森市内で最初にできた団地なので、歯科治療を必要とされている患者さんも多く、場所としても適していたと思います。
こちらの歯科医院の治療コンセプトについてお聞かせください。
歯だけではなく、全身を考慮した歯科治療を行なっています。
私は自分で歯周統合医療と呼んでいるのですが、歯周病を治すために免疫力を上げる治療をしています。歯周病も炎症を起こすので、体内の深部体温を1〜7度上げるインディバという深部加温装置にプラスして、高濃度ビタミンC点滴を行うと免疫力が正常に近くので取り入れるようにしています。
また当院は入れ歯(義歯)についてはかなり力を入れております。大学院で専門課程を経て、青森県に数人しかいない日本補綴歯科学会 専門医・指導医であります。
歯科治療においてはインプラントよりも入れ歯が適した場合も多く、それを的確に判断し、患者さんの状況に合わせて様々なオプションを提案できるところは患者さんにとっても大きなメリットだと考えております。
説明しだすと何日でも語れるぐらいなので、まずは当院のWEBサイトをご覧頂ければ、その詳しい内容を見て頂けると思います。
桜川歯科WEB
https://www.sakuragawa-dent.jp/index.htm
健康寿命130歳プロジェクトについて教えてください。
健康寿命130歳プロジェクトというのは、口から食事ができて健康で楽しく生涯130歳まで生きるためのプロジェクトです。
そのためには、歯周統合医療で口腔内だけでなく、全身疾患を事前に発見、治療して、良く噛める良い入れ歯でバネの見えないミリングアタッチメント金属床義歯を装着して、よく噛んで食事を楽しむことが必要です。
例えば、これまでは血液検査で動脈硬化や心筋梗塞の可能性があったとしても、どこに患者さんを送ったら良いのかわからなかったのですが、内科や外科の先生の協力もあり、何らかの疑いのある患者さんを紹介できるようになりました。
先日も、提携している外科に患者さんを送ったことがきっかけでポリープが見つかり、大変感謝されました。
東京や京都の先生とご縁があるので、今後はそちらに機器を置かせていただいて定期的に私が行って治療を行うという方法も良いのではないかと思います。
インプラント治療への取り組みについて教えてください。
私が歯科医になって大学にいた頃、500〜1000万ほど費用をかけて入れたインプラントを抜くという仕事がありました。実は、インプラントを抜いた後というのは真っ平らで、顎がすり鉢上になってしまうのですが、それでも抜いたところに入れ歯を入れなくてはならないですよね。そのような治療を頻繁に行っていました。
さらに、私たちの歯には歯根膜があるおかげで0.01〜0.005ミリほど動くクッション性を持ち合わせているのですが、インプラントにはそれがありません。
そのため、インプラントと接している自分の歯が悪くなってしまうこともありますし、骨の中に異物を入れていることになるので、慢性炎症を引き起こしてしまいます。当然、金属なので磁場が狂ってしまいますし、脳に近い部分なので何らかの影響があると考えられます。
そのため、当院では、インプラントの治療を行う際には、様々な影響を考慮し内科医と連携しながら治療に当たっています。
青森県における歯科医療の現状はいかがでしょうか。
予防医療も含めて、歯科治療への理解が深まりにくいと感じています。
治療を行う前にはしっかりと説明をしていますし、保険治療とそうではない治療に分けてご紹介してから判断していただくのですが、それでも敬遠されることもありますね。
また、サプリメントや新しい治療に抵抗感を持たれる方も少なくないのではないでしょうか。
歯科医に向けた講演や研修もされていますが、今後も続けられるのでしょうか。
そうですね。30代、40代の頃はそうではなかったのですが、今は年齢が上がってきたこともあり、下の代に伝えていきたいという気持ちがあります。
やはり、インプラントはリスクが高いですし、新しい治療法についても教えられたらと考えていますね。
今後のビジョンについてお聞かせください。
本当は、アカデミーのようなものを作りたいと思っています。今は、ネットが発達しているので、ウェブでも良いと考えていますが、実習も必要なので東京での開催がベストですよね。
京都の先生と縁があるので、そちらに機器を置かせていただいて定期的に私が行って治療を行うという方法も良いのではないかと思います。
取材:青森ドクターズ編集長 池上文尋