大澤歯科医院 大澤優子先生インタビュー(青森市)

最終更新日:2020年11月3日
大澤歯科医院
副院長
大澤優子
先生

八戸市出身。歯科医師。株式会社ケロル代表取締役。

岩手医科大学歯学部卒業後10年の勤務医生活を経験し、その後大澤歯科医院副院長となり現在に至る。 医院とスタッフのマネジメント、子育てで悩んでいた40代で個性心理學と出会い、 個性心理學認定講師として一部上場企業、歯科デーラー、小児科医院などでの講演を多数行っている。

青森市大澤歯科医院「ママさん歯科医師Dr.YUKO」のブログで女性歯科医師としての目線で、 日々の診療、働く女性として、子育てのことなどを発信中。

このたび、大澤歯科医院の大澤優子先生にインタビューをさせて頂きました。

 

大澤先生は2020年10月12日に「歯科衛生士のトリセツ」という本を初出版されました。

 

まちだ内科クリニックの町田光司先生がこの書籍を紹介されていて、「青森でもこのように出版して、多くの方に情報発信をしようとされる先生がおられるんだ!」と思ったことがきっかけです。

 

即座に取材依頼を行い、ご快諾を頂き、今回のインタビューと相成りました。

ぜひご覧くださいね。

歯科医師になられたきっかけを教えてください。

小学校六年生の卒業アルバムには、歯医者さんになりたいと書いていました。

小さい頃、近所に歯科医院があって虫歯の治療に通っていたのですが、非常に居心地が良く、その頃から歯医者さんになりたいと思っていました。

 

 

理系の科目が好きだったのと、歯科とは直接関係がありませんが、父が「これからの時代は、女の人も手に職を持って社会で働く時代がくるから」と言っていたことが影響しています。「手に職を」が父の教育方針で、2つ年下の妹も麻酔科医として働いてしています。

 

父は今年87歳になりましたが、とても感謝しています。

青森県において、医科歯科の連携はかなり進んでいるのでしょうか。 

青森市内はあまり進んでいないと思います。ただし、まちだ内科クリニック院長の町田先生のご尽力のおかげで、青森市内の西地区は医科歯科、そして介護の連携は素晴らしいと思います。

勉強会も頻繁に開催されています。

青森県民の方の、口腔内の状況はいかがでしょうか。

残念ながら、口腔状態は悪いです。

青森県は短命県と言われていますが、短命を回避するためには正しい食生活が重要です。食べるものが体を作りますが、歯が悪いと食べることができません。

 

私たちは、何かを頑張る時によく「奥歯を噛み締めて、歯を食いしばれ」などと言いますが、歯がないとぎゅっと噛み締められないので頑張りがききません。

 

現在、青森市内は、中学校までは医療費が無料ですが(所得制限あり)、それでも虫歯の治療をしない子供たちが大勢います。

 

歯科は、直接生死に関わらないことがほとんどなので、人生における優先順位が低いのだと思います。

先生のところでは、歯科診療において様々な取り組みをされていますね。 

私は八戸市で10年間勤務医として働き、その後に結婚をして青森市へ来ました。

 

八戸での勤務先は予防に力入れており、治療が終わっても数か月ごとのメンテナンスは当たり前でした。しかし、当院は青森市の西地区の外れにあり、高齢の方が多いため予防という概念が全くありませんでした。治療が終わった時に「定期検診で3か月後にまた来てください」と話した時に真顔で「先生、まだ儲けたいの」と言われた台詞が今でも忘れられません。

 

未だに、歯科医院は歯が痛くなったら行くところなのです。

 

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歯科治療は、治療の段階が上がっていくほどお金も時間もかかります。小さい虫歯であれば一回で治療が終わりますが、神経を取ることになると何回も通院しなくてはなりません。保険適用とはいえ被せ物を数本行うと一万円札が飛んでいくという世界です。

 

本当は、予防を続けた方がトータルでみるとお金がかかりません。

 

また、これは日本人の特徴かなとも思うのですが、目に見えるものには価値を感じるのですが、目に見えないもの(健康や知識)のは価値を感じにくい傾向があると思います。歯を削って銀歯が入るのは有難いが、歯を守るため定期健診にお金と時間を使うのはムダだと思っているようです。

 

当院は予防に力を入れているため、定期的な検診の重要性を説明しています。定期健診で「変化がない」ということが自分の歯を長持ちさせるために重要なのですがこのような考え方に変えていくのは非常に難しいです。

 

患者さんには「定期健診では、私(歯科医師)に会わないようにしてください。歯科衛生士にだけ会うようにしてください。」とお伝えしています。なぜなら私(歯科医師)に会うということは治療が必要になる確率が高いからです。

こちらでは、口臭外来もされているそうですが、どのような方がいらっしゃるのでしょうか。

口臭は誰にでもあるので恥ずかしいことではありません。ケアをすれば改善します。口臭外来では、口臭を無臭にする目的がありますが、口臭のために人前に出ることが億劫で、メンタルの部分に影響している方もおられます。

 

また、口臭はないけれども、自分が何をやってもうまくいかないのは口臭が原因だと思って受診される方もいらっしゃいます。

 

口臭外来は時間も費用もかかりますが、「口臭」という悩みを解決して自信をとりもどすことができるのならば受診を考えてみるのもいいかもしれません。

 

逆に、ひどい口臭があるのに本人が気付いていない方もおられます。口臭は非常にデリケートな問題なので親しい人しか指摘できません。口臭を指摘してくれる人がいるということは実はラッキーなことなのです。

 

正しい口腔ケアをしていれば口臭は防ぐことができます。

マナーやエチケットは周りの方を不快にさせない、という意味もあると思います。口臭ケアがマナーやエチケットの一部分として一般的に認知されることをながっています。

認知症と歯周病の関係が話題となっていますが、先生はどのようにお考えでしょうか。

認知症と歯周病の関係は、10年以上前から言われており、私たち歯科医師の間では当たり前のことですが、一般の人にはなかなか理解してもらえないことのひとつです。

 

歯の周りには歯根膜というものがあり、噛むことで認知を司っている前頭葉に刺激を与えています。歯を失うと歯根膜もなくなるので前頭葉に刺激が伝わらなくなり認知症になってしまいます。また、歯周病菌は心筋などにまわってしまい全身の病気の原因にもなります。

 

もしボケたくないのであれば歯を大切にしたほうがいいですね。

 

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また、自然界の動物は、歯が悪くなっても歯の治療をすることができませんから歯がダメになるということは死を意味するのです。

 

「なるべく歯医者には行きたくない」と多くの人が思っているはずです。治療のために通うのは嫌かもしれませんが、歯を長持ちさせるため、歯を白くするため、人前で自信を持って歯を見せて笑えるようにするため、全身の健康のために通うのなら、そんなに嫌な場所ではないはずです。

 

私が歯科医師になった頃よりも、予防に対する考え方は少しずつではありますが変わってきたなという感じはしています。

今回、「歯科衛生士のトリセツ」という書籍を出版された理由をお聞かせください。 

歯科医師とは別の顔になりますが、私は小さい頃から本が好きで、死んだ時には棺桶に自分が書いた書籍を入れるのが夢でした。「本を出版したい」と長いこと思っていたのですが、今回その夢が叶いました。

 

私は歯科医師ですが、個性心理學認定講師や風水心理カウンセラーとしても活動しているのでそちらの観点からも本を書きました。

 

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私自身、経営で大変な時代がありました。

今の若い子は使えないと言われることがありますが、それは双方に改善点があるのではないかと考えています。従業員は組織で勤めるための必要な作法や礼儀がありますし、経営者として人を使うにはそれなりの覚悟が必要です。平成生まれの世代が職場ではそれなりの地位になってきています。考え方や育ってきた環境が違うので、その辺りのギャップについて経営者向けにお伝えしたいと思って書きました。

 

この書籍では、自分と異なる価値観や考え方について言及しており、ターゲットは歯科衛生士を雇っている歯科医師ではありますが、経営者の方からも「若い職員が在籍している経営者は読むべきだよね。」との感想もいただきました。

色々なスタッフがいると思いますが、どのような人事対応をされているのでしょうか。

性格の良い下手な人と性格の悪い上手な人がいた場合、どちらを雇用するかと言うとズバリ性格の良い方です。残念ですが、どうしても一定数合わない方はいるので、そこは私のところではお断りしています。

 

仮に、私がAさんのことを苦手だとすると、おそらくAさんも私のことが苦手で、その歩み寄りの幅をどの程度にするのかを決めなくてはなりません。その部分で悩む時間は無駄だし、お互いのストレス軽減のためにも性格は重視しています。

ご夫婦で歯科医院を経営されることに、ご苦労などはありませんか? 

夫婦間の問題を診察室に持ち込まないようにしています。夫婦喧嘩をして朝、スタッフが来たら診察室がめちゃくちゃだったなどという話を聞いたことがあります。

 

白衣を着たらプライベートを診療室に持ち込むのは厳禁です。最低限のルールだと思いますが、その辺りがうまくいっていないところもあるようです。

 

また、ご夫婦で診療所を経営されていて奥様がスタッフや事務長になって揉めるケースも山ほどあります。院長の奥様がスタッフに寄り添うことも大事ですが、女性の職場なので監視されているような気がするかもしれません。

 

経営者と従業員はお互いの気持ちを考える必要があると思っています。しかし、立場も役割も違うので平行線のままで良いと考えています。先ずは与えられた役目をきちんとこなすことが重要です。

 

働くモチベーションとして、患者さんのためにというのは大事です。

自分の人生を犠牲にして患者さんに尽くせと仰る先生もいらっしゃいます。素晴らしい考えだとは思いますが、若いスタッフだったらお金のために働いているでも良いと私は思います。

 

働く目的や意義は、キャリアを積むにつれて患者さんにありがとうと言われることが嬉しくてやりがいを感じる、社会に貢献したいと、徐々に明確になっていけば良いのではないでしょうか。

やはり自分の足元がしっかりしていないと人には優しくできないものです。

今後のビジョンについてお聞かせください。

個性心理学認定講師、風水心理カウンセラーとして女性の夢を叶えるお手伝いをしていきたいです。私の夢は本の出版でしたが、どんなことでも構わないと思います。

 

治療に来ている若いお母さんたちを見ていると、本当に疲れていて余裕がありません。かつての自分は日々の生活に追われ、子供や旦那にストレスのはけ口を向けていました。子育て中は大変なことが多いのですが、お母さんが家で笑っていないと子供たちが元気になりません。

 

私自身、「自分の人生は自分で選んでいる」と言うことに気がつくまでにかなり時間がかかりました。30代、40代で学んできたことを青森県の女性の方々知っていて欲しいと言う気持ちがあります。

 

上の世代の人たちからは「子育ては今しかできないから」と、ずっと言われていました。でも、自分ではそうは思えず、いつまで続くのかと思っていました。だんだんと子供達の手が離れてきた今、もし一つ後悔するとしたら、もっと子供達との時間を作ればよかったと感じています。

 

あっという間に子供は大きくなります。子育てが終わった後にお母さんが燃え尽き症候群にならないように子育てと自分の人生のバランスをとることも大事です。そのようなことを、少しだけ母親の先輩として伝えていけたらと思っています。

 

歯科医師としては、歯で困る人が一人でも少なくなるように、と願っています。できることならば歯を削りたくありません。

 

予防歯科の重要性を多くの人に理解していただきたいです。

幸せで実り多い人生のために必要なもののひとつが健康です。青森県の皆さんが体の健康だけではなく、心と歯も健康に保ち続けられるよう、情報発信を続けていきます。

まとめ

青森県が短命県であることと、歯を含む、口腔内の環境の悪さの関係性は多少なりともあるかなと思っておりましたが、やはり今回のお話の中でも大きく影響しているのだということが良く分かりました。

 

歯科を上手に活用し、予防的に歯科に行くことにより、健康管理をしていくことをもっと多くの方に知って欲しいと思いました。悪くなってからだとカラダにも影響が出るし、お金も大きくかかってしまいます。

 

さて、最後に大澤先生の初出版を記念して、出版記念講演会を行われる予定です。遠くの方はオンラインで参加出来ますし、青森市内で開催されるので青森近郊の方はリアル参加も可能です。

 

興味のある方はぜひ、ご参加ください!

 

詳細・申し込みは下記の通りです↓

★大澤優子先生出版記念講演会(11月28日土曜日15時~16時30分)

https://dryuko.peatix.com/view

 

<参考サイト>

 

大澤歯科医院

http://www.osawashika.com

 

歯科衛生士のトリセツ−女性歯科医師だからわかる歯科マネジメント−

https://tinyurl.com/yyv4wvdo

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