あおもりフルールつながりの取材ということで、前回の佐藤秀子氏に続き、株式会社 I・M・S 代表取締役の三上友子氏にインタビューをさせて頂きました。
初対面で感じたのは青森では珍しいエネルギッシュな女性経営者だなということ、どんなことを考え、活動されているのかに興味が湧きました。
今回の取材では様々な質問をぶつけてみました。ぜひ、ご覧くださいね。
目次
三上さんは学生時代どんな学生だったのでしょうか?
高校までしか行っていないのですが、将来のことを考えずに今が楽しければ良いという過ごし方をしていたと思います。キャリアビジョンなど考えてことがありませんでした。ただ、祖父母に育ててもらったことから、早く働きたいという気持ちは持っていました。
起業された経緯を教えてください。
起業したのは計画的ではありません。最後に勤めていた会社が名古屋に本社があるブラザー販売株式会社でした。当時私は弘前校の室長を務めていました。弘前は本当に利益を出している地域でした。
しかし、全国20箇所ほどあるブラザーが手がけるスクールはほとんど赤字でした。このままであれば、いずれ閉鎖になるだろうと思っていたところ、やはり、ある日の会議で「閉鎖する」と発表がありました。
それまで独立を考えたことはなかったのですが、室長として働く姿を見てくださっていた方から「すごく勿体無い」という言葉をいただきましたし、地域の仕事を担当させてもらっていたことで、企業の方からも「ブラザーがなくなることは地域にとっても痛手だ」というお話も頂きました。
それであれば、自分で会社を起こそうと思い立ったのがきっかけです。お金もなかったので自分で起業の準備をし、今年で18期目になりました。
事業の主軸は、キャリア支援や起業支援になりますか。
起業支援をはじめて5年くらいになります。それまでは、個人への就職支援が中心でした。色々な世代の再就職支援をする中で、時折、独立したい、起業したいという方がいらっしゃいましたね。
女性活躍や、女性の起業家を増やしていきたいという社会の流れもあります。また東北全体で起業支援をされている方々との出会いもあり、さらには、起業家の象徴であるあおもりフルールという役目もいただいていますので、起業支援は自然な流れで始めたという形です。
法人への採用支援や定着支援はそれより以前より行っていました。さらには企業研修の比重も高まっています。これは、個人就職支援をする中で色々と気づけたことを企業側に伝えられていることとつながっていますね。テキスト通りの研修ではなく、働く職業人の悩みなどを聞いているからこそ、実例をたくさん伝えることができています。
みなさん、辞める時は本当の理由を伝えません。
それぞれ大人ですから、退職時は綺麗なことしか伝えていないので、定着率が悪いと悩む会社側は何が問題なのか気づくことができないのです。「家族の都合」や「他にやりたいことがみつかった」という退職理由が事実なことは“まれ”です。
その数の多さを知った時に、「このままでは、企業の課題が解決されることはない。働く人がいなくなってしまう」という気持ちがあったので、それを会社側に理解してもらうのが私たちの役目であると気づきました。
私たちの強みは、年間1万件以上、個人の職業人のキャリア相談を通じて、働く人の生の声を聞いていることです。それは会社側が決して知ることのない本音になります。それをきちんと伝えていけるのは弊社しかいないと思っています。そこがすごく財産であり使命ですよね。
今後、事業支援や社会支援において力を入れていきたいことはありますか?
まさしく、7月15日にオープンするのが、“笑顔が増える場所作り”として始めるコミニティスペース「月と山と」です。私の実家が空いているので、そこを活用することで“空き家活用”や“子育て中に感じる孤独の解消”、と言う形でいくつもの社会課題の解決にもなります。
自分の子育ての経験からと働く女性を応援したいという意味付けもあり、実家に帰ったようにリラックスできる場所がないと、女性は働き続けることが難しいと思いました。それを7年越しに実現することになりました。
嬉しいことに、15日のOPENイベントは定員を大幅に超える申し込みがあります。さらにはその場所を貸し切ってイベントをやりたいという話も頂いております。とにかく、子供達の心からの笑顔が見たいので、敢えて外でしかできない遊びを通じ、郷土愛もはぐくみながら、笑顔が増える取り組みを始めます。
事業的な部分では、企業支援では特に役割があると思っています。そのため、自社だけでは難しいこともいろいろな企業とでバランスを取りながら、専門性をいかしたパッケージとして形で進めていくことを計画しています。
青森における起業は、男性より女性の方が多いのでしょうか。
そういうことは全くなく、女性は少ないですね。とある統計で見ると、青森は女性社長が多いと言われていますが、青森は短命県なのでそれまで社長だったお父さんやご主人が亡くなって社長に就任している関係でおそらく多いのだと思います。
後を継いだ方は使命感を持っていらっしゃいますし、子供の頃から商売をして社長になるという気持ちが植え付けられているのではないでしょうか。そういう方は、立派な方がたくさんいますね。
また、起業が多いと言っても多くが個人事業主になるので、経済団体などの場面ではまだ女性は少ないように思います。
起業がブームになってしまっているのだと思います。昔だと、家で好きな時間を使って行う仕事と言えば“内職”であったと思います。
現在は内職と収入面では変わりのない場合でも“起業”という扱いになっていますよね。家で得意なことをしていれば個人事業主、イコール起業家という見方をされます。それが良いという人もいるとは思いますが、起業を通して何を成し遂げたいのか。どのような社会を作りたいのかが重要だと考えています。
青森で起業してもうまくいかない方も多いと思いますが、成功の秘訣などありますか。
起業に関しては、こうやったら絶対という方法が存在しないですよね。起業をお手伝いするときに、まず、「なぜ起業しなければならないのか」自分と向き合う必要があると思います。人のまねや流行りに乗って起業を選択するとなると、時代が変わったときに「こんなはずじゃなかった」となってしまいます。起業を通してでなければできないことがあるから起業するという信念が必要だと思います。
「起業するのに何の資格が必要ですか」と質問されることがあるますが、これは的外れですよね。ブームになりすぎて、起業するのがかっこいいと思う子育て中の女性がいますが、その風潮自体が問題だと感じています。
仕事と家庭の両立において、ご自身の工夫などあれば教えてください。
いつからか、ライフとワークの区分けがなくなっていきました。社会的な活動も含めて、ワークとライフとソーシャルが全て入り混じっています。その中で仕事につながるものもありますし、プライベート面で充実していると感じる場面もたくさんあります。
また、私だけではなく、社員にもそうして欲しいと思っているので、社員が子供出勤をすることもあります。そう言った部分は、私が女性という立場で社長をしているからこそできた空間かもしれません。
弊社は女性社員が多いのですが、お互いに助け合う環境でなければ、働き続けることが難しかった方がいるかもしれません。
私も社員も、社員の成長や社員の子供の成長をすごく嬉しく思っています。それは、頑張ってみんなで稼いだお給料で、ご飯食べて成長しているということなので、本当に嬉しいことなんです。
私の自宅に社員が集まるときは社員のお子さんももちろん一緒です。私の子供もその環境を喜んでいます。それはこの関係でないと体感できないことなので、モチベーション維持になりますし仕事に感謝をする機会にもなっています。
フルールの活動について教えてください。
フルールの活動については、青森県が始めた取り組みであり、起業家の活動の象徴という位置付けにあります。
それまではどうしても男性社会の中で過ごしていましたが、フルールの活動を通じて、メンバーとの交流が生まれました。どの場面でも、女性は片隅にいるなど心苦しい場面を経験してきた分、女性同士が交流をもてる場であることが、すごくありがたいですね。
今も、横のつながりが生まれていますし、フルール活動がなければ、青森の起業家の繋がりはできていないですよね。
健康管理や美容において、気をつけていることはありますか。
素敵な方とお酒や会話を楽しむことですね。いろいろな分野で自分を高めている方や努力をされている方と交流することで、刺激を頂きながらそうありたいと思うことでしょうか。決して、疲れた感じにはなりたくないですね。
50歳目前になり、「頑張っているけど疲れ切っているよね」、と言われるようにはなりたくないので、いつも元気だねと言われることを心がけています。
視聴者の方に向けたメッセージをお願いします。
「月と山と」では、自然の田舎を満喫するというコンセプトで作ったコミュニティスペースになります。
とても緑が豊かなので、弘前市内に住んでいる方であっても「とってもいい場所だね」と言われるくらいの大自然です。
自然の中にいるとリラックスできるので、大人だけでも良いので一度足を運んで欲しいと思います。きっと、青森の良さを再認識する機会になると思います。
まとめ
自分の事業に勤しんでおられるのと同時に社会貢献的な事業や公的な役割も果たされている三上さんですが、自分の経験や実績をきちんと評価し、それをどう周りに活かしていくのかを常に考え、行動されていることが良くわかりました。
その原動力になっているのが人のつながりと美味しいお酒だということなので、また、弘前で美味しいお酒をご一緒出来ればと思っております。
<関連サイト>
株式会社IMS