女性目線、主婦目線で地域活性化プロジェクトを推進!~Misawa Art Project 久慈美穂氏インタビュー

最終更新日:2021年6月4日
Misawa Art Project
代表
久慈美穂
さん

このたびは三沢市で地域活性化事業を積極的に手掛けられている久慈美穂さんをインタビューさせて頂きました。久慈さんは、三沢市はもちろんのこと、青森県内の数々の地域おこしプロジェクトにも関わっておられます。

 

先日、友人の紹介で八戸にてお目にかかり、輝いておられるのを見て、即インタビューのお願いをさせて頂きましたところ、快く応じて頂きました。

 

主婦でありながらも様々な社会課題に取り組む久慈さんの活動をぜひご覧ください。

 

現在の活動内容について教えてください。

お仕事の他、Misawa Art Projectという市民団体の代表もしていますので、その二つが軸になっています。比率的には半々くらいでしょうか。個人の仕事は、デザインやイベントプロデュース、自治体の事業プランニングなどをしています。

 

Misawa Art Projectの活動は、主に三沢市を拠点に活動していて、地域と人をつなぐイベント企画や運営、地域活性化団体の企画サポート、女性起業家を支援するシェアオフィス「and more」の運営など、地域づくりや活性化といった課題解決を行なっています。

 

 

最も力を入れているのは、どのような活動でしょうか。 

シェアオフィスの事業ですね。今は、女性を中心としているのですが、女性が活躍できる社会の課題が集約していると思っています。今後展開していく上で、この事業は自分の中で重要なものになっていますね。

 

シェアオフィスに関して運営していてわかったのが、そこに誰がいるかということが重要だということです。モデルとしての事業展開は可能かもしれませんが、私がどんどん広げていくというよりも、広げたい人を育てることの方が重要だと思っています。つまり、コミュニティの中心になる人を育てるということですね。

 

久慈さんは青森ではかなりユニークな存在だと思うのですが、そのような思考になられた理由をお聞かせください。 

卒業してからは医療事務や薬局事務をしていました。

 

私の中では人生のゴールが結婚することでしたね。早く結婚したかったですし、主婦になりたいと思っていました。要するに、働きたくなかったんです。

 

早くに結婚して私の中では人生のゴールを達成し、これから先はゆっくり人生が過ぎていくと思っていました。

 

ところが、たまたま声がかかってハローワークの相談員を3年の任期で引き受けることになりました。働いているうちに、人生の縮図ではありませんが、いろんな人と接することになります。

 

生活保護を受けなければいけないくらいの方や、子供が引きこもりでお母さんが相談にくるなど。色々な方々を見てきて、私も人生で色々ありましたが、そんなのことは、大したことじゃないと。思えるほどでした。

 

そこから少しずつ「何か役に立てることはないか」と考えるようになりました。

 

履歴書の書き方ひとつでも、「採用されるためには、こう書いた方がいいかもしれないですよ。」とか、「一人で悩まないでいつでも来てくださいね。」など悩んでいる人の顔色が見えたり実際会話するなど、近いところでコミュニケーションが取れるのは大切だなって思うようになっていました。こういった経験は今につながっていると思います。

 

また、一緒に働いている同僚から、働き方についても指摘を受けたことがあります。

「時給や月給がいくらと決まっているけれども、それだけの金額の分だけ働こうと思ったらつまらないよ。」と言われたことがあります。その時に、金額どうこうではなく、自分が100%の力を発揮できたか、ということの方が重要ではないかという言葉が衝撃的で、そこから働くということを少しずつ意識し始めました。給料がどうこうではなく、自分の基準ではありますが、「どれだけ自分がきちんとできたのか」「今日も1日人の役に立てた、頑張れた」と思えることを少しずつ意識するようになりましたね。

 

それから考え方に深みや豊かさが生まれたような…、そういう経験がハローワーク時代にありました。

 

実は、3年の任期が終わった時に仕事を辞め、エステで起業しようと考えていましたので、ハローワークの勤務をしながらお金を100万ほど貯めていました。

 

それを持って不動産屋さんに行き、開業しようと物件を探す相談もしていたのですが、ちょうどその時に3.11が起きたのです。

 

子供も2人いたのですが、借りる物件だったところから家に帰るまでの間が、津波でひどい状態になってしまったのを見て、もしかすると起業はこのタイミングではないのかもしれないと思い、やめることにしました。

 

そのあと、三沢市役所の外郭団体が立ち上がるにあたり、久慈さんどうですかと、ハローワークに市役所の担当者が来てくれたことがご縁で、今度は外郭団体である三沢市雇用創造推進協議会で働くことになりました。

 

そして、メイン業務としてはセミナーの企画・運営などを行うところに配属となりました。年間15本くらいのセミナー×10コマずつとかを企画するなどなかなか大変でした。

そういった中で、セミナー担当の講師とかなりの頻度で会う機会が増えてきました。海外や東京など様々なところからいらっしゃる先生と話をすることがとても楽しく、自分が知らない世界がたくさん広がっていくわけです。

 

会えば会うほど、いろんなことに興味を持ち始めました。そこから、先生の空港からの送迎などの役割を買って出ましたし、会食などもついて行きました。また、東京出張など行ったときは、先生にアポを取ってコミュニケーションを深め、いろんなことを勉強させてもらいました。

 

ちょうど、国の任期が4、5年だったので、これが終わったら私はフリーで何かをしていこうと漠然と考えて仕事をしていましたね。

 

 

セミナーの企画の中に、イベントコーディネーター養成講座というのもありました。私は企画側でしたが、あるセミナーの先生が「主催者もこっちに入ったら?」とおっしゃってくださったので、私も一緒に講習受け、生徒のみんなと企画を考えてプレゼンしたこともありました。それを喜んでもらえたこともあり、実は、考えることも好きかもしれない、みんなで何かを作り上げる過程や見せ方をどう作るかというのも好きだなと思い始めるようになりました。

 

セミナー企画のチラシも、予算がないときは自分で作らなくてはならなかったので、初めての経験でしたがイラストレーターを使いながら作成していくうちに、こういうのも好きかもしれないなど、色々な経験を通して好きを知っていきました。

 

それらの講座を通して、市や街を盛り上げたい人を募集し、何か一緒に企画しませんかという形で立ち上げたのがMisawa Art Projectですね。

 

 

家庭との両立は大変だと思いますが、秘訣はあるのでしょうか。 

いかに手を抜くかだと思っています(笑)。

私も、最初から上手にできていたわけではなくて、今はこれくらいできればいいかなっていう感じで手を抜いています。

 

あとは、旦那さんが、自分の仕事に理解をしてくれるよう伝える努力をしましたね。今ではメディアにも取り上げられるようになって、そう言ったのを新聞やニュースで見て、頑張ってるんだなって思ってくれてるかもしれません。理解を得られながら、なんとか成り立っている形です。

 

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シェアオフィスは私にとって、第三の場所。家でもなく職場とも違う、みんなの頑張りを近くで感じながら、自分も日々向上できる刺激的な場所です。 誰かがいるとホッとするし嬉しい。誰もこない時はなんだか寂しいんです(笑) 誰かが悩んでいたら相談し合えるし、元気なかったら声かけあったり、新たなことに挑戦するメンバーがいたら応援し合えたり。 おうちでひとりで仕事していたらこんなことはなかった、シェアオフィスを運営してよかったなって思います。

 

これが一番大変だったということがあれば、教えてください。 

ハローワークも三沢市役所の外郭団体で働いたときもそうなのですが、上司たちは公務員なので「もっと、こうしたらお客さんの役に立つのに」「受講生のためになるのに」と思ったことを提案すると怒られていました。下の者が上に物を言うなと言われたことがあり、最初はその意味がわかりませんでした。

 

そこで、言ってダメならやってみよう。成果を見てもらって、認めてもらおうと思っていた時があり、そこから1年間ほどは思ったことをストレートに伝えずに見てろよって気持ちで取り組むようになりました。結構、ぶつかったりもしましたね。でも1年後くらいには、認めてもらえて「好きなようにやってみなさい。」と理解してもらえるようになっていました。

 

青森全体を見て、変えたらもっと良くなると思われる部分はありますか? 

若い子達も含めて、もう少し動きやすい環境があるといいですね。

上の方たちが、「昔の自分たちはこうだった」と話すことが多い気がします。輝かしい栄光を忘れてとは言いませんが、もう少し若い人達が前に出やすい環境を作れたらいいですよね。人を育てることができるような上手い仕組みが作れたら良いかなと感じています。

 

美しさの秘訣を教えてください。 

健康面に関してはあまり気をつけていません。食べたいものは食べるようにしています。睡眠時間は大事なので、22時には寝れるよう準備はしています。シェアオフィスを運営してからはほとんど家に仕事は持ち込まなくなりましたし。

 

美容に関しては、トレンドも含めて目に入れるようにはしています。

女性のブランディングやリーフレット作り、デザインをする機会もあるので、そういう意味でも情報入れていますね。また、シェアオフィスにはエステティシャンが常駐していますので、メンテナンスしてもらっています。

 

仕事が楽しいというのもあるかと思います。好きなことができているというのは、ストレスがないので大いに影響がありますよね。

 

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今後のビジョンを教えてください。 

今までは、ビジョンなく進んでしまっていました。与えられたことや目の前にあることをしていましたが、ふと立ち止まってみると「このままでは人が育たない」と感じました。

 

今年度、手がけたいことがあり、今まさに企画段階ではありますが、女性向けのキャリアスクールを開催したいと思っています。

 

女性は結婚をすると、旦那さんの意思や出産・介護などのライフスタイルの変化にかなり振り回されてしまいます。そういう文化を変えていきたいという気持ちもありますし、課題が見えたからキャリアスクールやろうと思っているところはあります。

 

その見えた課題というのが、もう少し地域のことを考えて仕事ができる人を増やしたい。課題を見出し、行動できる人を育てたいというところですね。

 

Webデザインやライターなど、リモートでも仕事ができるスキルを身につけ、もちろん外から仕事も欲しいのですが、地域の課題にスキルを持って解決できる人や、企画力のある人を増やしたいですね。地域の人が貢献できる仕組みも作りたいと思っています。

 

 

3年後の久慈さんの姿はどうなっていると思いますか? 

リーダーを育てるリーダーでいたいですね。

今は、私が育てられるほどの余裕がないのですが、そこを変えていかないとと思っています。自分に余裕を持ち、スクールを通してリーダーを育てることが重要かなと思っています。

 

3年後はそういう方たちが育っていれば嬉しいですね。

 

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リーダーを育てることによって実現したい社会は何でしょうか? 

私が幸せにできる人の数には、限界があります。

例えば私1人が周りの10人を幸せにできるとして、さらに10人を幸せにできるリーダーを育てたら、また違うコミュニティでそのリーダーたちが10人を幸せにして、また10人を幸せにして…って。

そういったことが連鎖してく社会が理想ですね。

 

コミュニティは、女性のコミュニティでもいいですし、おじいちゃんおばあちゃんのコミュニティを幸せにすることが得意でもいいと思います。いろんなコミュニティで活躍するリーダーが広がることによって、三沢の幸せだと思う人がたくさん増えると嬉しいですね。漠然としたイメージではありますが、暮らしが豊かになるというか、一つ好きなことが見つかるだけでもハッピーだと思いますし、そういう感じで広がっていったら良いですよね。最近はQOL(クオリティーオブライフ)という言葉がお気に入りです。

 

 

まとめ

久慈さんのお話、いかがだったでしょうか。

 

私は主婦だった久慈さんがどんどん目覚めていく姿に純粋に驚きましたし、きっと青森の女性の中にもこのような能力や志を持つ人がたくさん埋もれているのではないかと感じました。

 

久慈さんの企画されている塾が現実化されるとそのような方々もどんどん才能を開花されていくのではないかと思いました。

 

本当に今後が楽しみですね。

 

久慈さん、お忙しい中、インタビューに応じて頂き、誠にありがとうございました。この場をお借りして厚く御礼申し上げます。

 

関連サイト

 

Misawa Art Project代表(2013年 総務省地域づくり総務大臣賞受賞)

https://www.facebook.com/MisawaArtProject?locale=ja_JP

 

女性起業家専用シェアオフィス【and more】を運営

https://peraichi.com/landing_pages/view/andmoremisawa

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