このたびは弘前大学大学院医学研究科消化器血液内科学講座に所属されている菊池 英純先生にインタビューをさせて頂きました。
菊池先生はあおもり藍の抗炎症作用の研究をされており、あおもり藍のスプレー「AOMORI BLUE」はコロナ禍で大ブレイクし、現在、全国の病院、介護施設、ホテル等様々な場面で利用されております。今後、更なる用途拡大が見込まれております。
それでは菊池先生のお話をご覧ください!
目次
- ドクターになられたきっかけについて教えてください。
- 消化器血液内科を選ばれたのはなぜでしょうか。
- あおもり藍に関わるようになったきっかけについて教えてください。
- あおもり藍の効果について教えていただけますでしょうか。
- 弘前大学は、青森県産で薬効成分があるものは積極的に研究していこうとされているのでしょうか。
- 短命県を返上するために、先生からアドバイスがあればお願いします。
- 青森県でのがん発生率は高いのでしょうか。
- ピロリ菌の感染率はいかがでしょうか。
- 医学部の地域枠などを活用して、地元の人材を育てていこうとされていますが、それでも外へ出て行く人は多いものなのでしょうか。
- 最後に視聴者へのメッセージをお願いします。
ドクターになられたきっかけについて教えてください。
私は元々、学校の先生になりたいと思っていましたが、大学受験に失敗をして浪人をした時に、様々な本を読む時間がありました。
当時は緩和医療や患者さん中心の医療が社会的に注目されていました。ホスピスの本に登場した医者は私の持っていたイメージと違い人間味にあふれる仕事をしていて、興味をもちました。そして、もしかしたら自分らしい仕事ができるのではないかと感じ、そこから医者を目指すようになりました。
消化器血液内科を選ばれたのはなぜでしょうか。
私の所属は消化器血液内科ですが、消化器内科を担当しています。
消化器内科ではお腹が痛いという訴えが最も多いのですが、その原因は複雑です。病気の原因は急性期や慢性期、良性疾患から悪性疾患までとても幅が広く、お腹が痛いというたった一つの訴えから色々なことを考えなくてはいけません。
でもお腹が痛いという場合には目に見える病気がなく、ストレスや精神的要因、また環境要因なども原因になることがあります。
とにかく、クリアに進まない分野が消化器内科だと感じていました。
私は、ありふれているけれども難しい分野でやりがいがあると思い、消化器内科を選びました。
あおもり藍に関わるようになったきっかけについて教えてください。
きっかけはテレビ番組です。それまであおもり藍について全く知りませんでしたが、偶然観たあおもり藍の特集番組で安全安心な抗菌作用の抽出エキスについて紹介されていました。
その後に消化器内科の学会で藍を使った漢方薬が腸炎に効くというトピックスを聞いて、あおもり藍を思い出しました。そこであおもり藍産業協同組合様に直接電話をして、共同研究をお願いしました。
当時、発表された漢方薬の論文は注目されたのですが、副作用が問題となりいまだに国内では承認されていません。あおもり藍の安全性を強みに研究を進めています。
あおもり藍の効果について教えていただけますでしょうか。
インフルエンザウイルスを使った研究成果が出ています。一般的な消毒剤のアルコールを上回る抗ウイルス作用が見られました。
ウイルスを感染させた細胞を培養すると、感染細胞はどんどん死んでいくのですが、あおもり藍のエキスを使うとウイルスの増殖を抑えることで細胞が生存し続けます。
あおもり藍の良いところは、インフルエンザウイルスに対する効果だけではなく、天然植物を原料にしているので安全性が高いということです。天然由来でかつ抗ウイルス効果を実証していることは、大きなメリットです。
このエキスは一般の方々はもちろん、それ以上に病院や高齢者の多い介護施設や在宅医療など、体の弱い人が生活している環境では重宝されると思います。
また、調理場など衛生を担保しなければならない環境でも、利用価値は非常に高いと考えています。
弘前大学は、青森県産で薬効成分があるものは積極的に研究していこうとされているのでしょうか。
地方大学として特色のある研究を継続していかなくては生き残れない時代だと思います。弘前大学としても、まだまだこれから積極的に取り組んでいきたいと思います。
今回、あおもり藍の研究成果が特許申請まで進み、世の中にも大分、認知されていていることは研究者として、また大学全体としても大きな成功体験の一つになったと考えています。
健康に対する注目度は高まっていますし、社会にとって有意義な研究だと思います。
短命県を返上するために、先生からアドバイスがあればお願いします。
私は消化器内科として最も力を入れているのは胃がん検診や大腸がん検診です。青森県民は我慢強く、症状が出るまで病院に行くことが少ないので受診率が低いと言われています。
職場や町の検診を受けて陽性になった場合でも、精密検査を受けない方もいらっしゃるので、是非受診してほしいと思います。
また社会的な背景として、受診しやすい環境を作ることも大切だと思います。症状がない時点で見つるために、できるだけ検診を受けて頂き、早期発見、そして早く治すことが一番大事です。
青森県でのがん発生率は高いのでしょうか。
青森県はがんの死亡率が高いことが問題です。進行がんの状態で見つかることも原因の一つだと思います。
また、喫煙や塩分の多いものを食べる習慣も、発生率に繋がっているのではないでしょうか。禁煙活動や生活リズム、食生活の改善も必要だと感じています。
ピロリ菌の感染率はいかがでしょうか。
胃がんは、以前から東北地方では日本海側が太平洋側より発生率が高いといわれるなど、地域性も言われてきました。胃がんの原因がピロリ菌感染とわかり、ピロリ菌の除菌治療が拡がった結果、最近では青森県内でも感染率は下がってきています。除菌が成功した後でも胃癌ができる可能性はありますので、安心せずに検診や定期的な検査を受けることが大切です。
医学部の地域枠などを活用して、地元の人材を育てていこうとされていますが、それでも外へ出て行く人は多いものなのでしょうか。
地域枠で入学した学生は研修が終わり、これから一人前になります。
現在は、多くの若手医師が県内に残ってくれていますので、これから医師数が増えてくると思います。ただ、青森県は広いので数年のうちに充足率が高まっていくものと期待しています。
青森県には各地域にしっかりと中核病院がありますので、若い人たちが力を発揮できる医療現場を整えることも私たちの仕事だと思っています。今、頑張っている若手医師や学生のみなさんが、やりがいを持って楽しく一生懸命に仕事をできるようにサポートできたらと思います。
最後に視聴者へのメッセージをお願いします。
病院は怖いところではないということを伝えたいです。
昔は、怖い先生や話を聞いてくれない先生が多いというイメージが強かったかもしれませんが、そんなことはありません。患者さんを脅かそうという人はいないでしょうし、いまの時代はどうやって信頼関係を気付いていこうかと悩みながら診察しています。
ちょっとしたことでも相談してもらえればうれしいですし、皆さんに寄り添う場だと私たちは思っています。ぜひ受診や検診を受けて欲しいと思います。
まとめ
今回、取材をさせて頂いて感じたのは大学病院の先生って、こんなにソフトな感じで優しかったのかということと、色々と積極的に新しいことに取り組まれているんだなということです。
私が製薬企業に勤めていた30年前の大学病院の記憶からは考えられないような感じです。
良いものはどんどん取り入れて良い医療にしていこうというのは、時代が進むにつれて、どんどん加速しているのだなと感じました。
私も青森藍の抗菌スプレーの愛用者ですが、ありがちな化学臭もなく、本当に重宝しています。
菊池先生のお話を伺いながら、こんな優しい先生が診てくれるなら大学病院に行ってもいいかなと思ってしまいました。
菊池先生、お忙しい中、インタビューに応じて頂き、誠にありがとうございました。この場をお借りして厚く御礼申し上げます。
<関連サイト>
弘前大学消化器内科学講座
http://www.med.hirosaki-u.ac.jp/~inter1/html/staff.html
あおもり藍産業協同組合
http://aomoriai.com/spray.html