エフ.クリニック 院長 藤井 俊策 先生のインタビュー記事

最終更新日:2020年5月9日

青森ドクターズネットの記念すべき第一号の取材は青森市内の産婦人科クリニック「エフ.クリニック」の藤井俊策院長先生にお話をお伺いしました。クリニックでは産科、婦人科に加えて生殖医療と内視鏡下手術にも積極的に取り組んでおられます。

 

常に新しいことに取り組まれているその姿勢に感銘を受け、クリニックのこだわりや、お考えについてなどお話を伺いました。

 

インタビューの内容をどうぞ!

エフ.クリニック (青森市)
院長
藤井 俊策
先生

これまで私は、弘前大学医学部附属病院で約20年間にわたり、不妊症・不育症などの生殖医療と腹腔鏡・子宮鏡・卵管鏡などの内視鏡手術を中心として診療、研究、教育にたずさわり、青森労災病院やむつ総合病院においては周産期医療や一般婦人科診療の経験を積んでまいりました。
思春期から更年期まで女性の生涯におけるさまざまな疾患、特に生殖に関わる問題にきめ細かく対応したいと考えております。立崎先生の築いた地域医療の礎を踏襲し、さらに発展させるべく頑張る所存です。よろしくお願い申し上げます。

 

【経歴】
1986 弘前大学医学部卒業
1990 弘前大学大学院修了
1991 青森労災病院医長
1992 弘前大学病院助手
1995 弘前大学病院講師
1999 Adelaide大学 (文科省在外研究員)
2003 弘前大学大学院医学研究科准教授
2010 むつ総合病院産科部長
2011 立崎レディスクリニック院長
2012 エフ.クリニック院長

 

【資格】
医学博士
産婦人科専門医
母体保護法指定医
生殖医療専門医
内視鏡技術認定医

ドクターになられたきっかけについて教えてください。

得意な科目が理科と数学、英語だったので、受験科目で選んだところが大きいですね。かつての医学部は、受験科目が少ない大学もあり、そのうちの一つが弘前大学でした。でも、本当のところは絵を描くことに熱中していたので、美大に入りたいと思っていました。

 

なぜ、産婦人科を選ばれたのでしょうか。

大学はとても面白く、基礎研究にも惹かれましたが、臨床実習で産婦人科をまわっている時にこのクリニックを作られた立崎達夫先生から声をかけられたのがきっかけです。

 

最初は、あまり産婦人科へいくことは考えていませんでした。

 

当時、不妊治療においては先進的なオーストラリアのアデレード大学へ行かれていますが、そちらへ留学されることになったきっかけについてお聞かせください。

体外受精を始めた頃、パースで日本人を対象とした泊りがけの講習会が行われていました。当初はそこに留学したいと思っていたのですが、その先生が病院を辞めるということでしたので、アデレードを紹介してもらいました。

 

アデレードの病院では基礎実験の合間に、不妊治療や手術など臨床も見学させてもらいました。これは私にしかできないことだから教えられないけれど、見ているならいいよというスタンスです。詳しいことはなかなか教えてはくれませんでした。

 

今考えると現在でも最先端の技術がそこで行われ始めていました。

 

ただ、あちらは夜遅くまで実験することはなく、みんな必ずオフを作っていたので、夕方の6時くらいになると綺麗に帰ってしまいますね。居残りは禁止されていました。

 

産婦人科としての土台を作っていこうと思われたのは、どのようなお考えからなのでしょうか。

最初はローテーションで色々な分野にまわされますし、研究は自分でテーマを決めて研究費も獲得しなくてはいけません。また、病棟の責任者のようなこともしていましたので、知らないでは済まされないというところも大きかったです。

 

もともと、開業する気持ちはありませんでしたし、弘前大学病院を辞めてむつ総合病院へ赴任した時も、そこで勤務を終えようと思っていましたが、結果的には開業して良かったと思っています。

 

開業してからのこだわりなどありましたら、教えていただけますでしょうか。

良いものは取り入れていこうと思います。そうでなければ体外受精の場合は妊娠率ではっきりと結果が出てきてしまいます。上手くいかないことはどうしても出てくるので、新しい可能性があるならチャレンジしていこうと考えています。

 

また、できるだけ患者さんの通院回数を少なく、負担を軽くしたいですし、婦人科や不妊に関わる手術はほぼすべて内視鏡で行っています。

 

青森県で不妊治療を受ける患者さんには、どのような特徴がありますか?

年齢は全国とほぼ同じで、平均年齢は38歳くらいです。外来だと、35歳前後ですね。不妊治療の中でも、IVFの割合は増えてきています。

 

チーム医療を進めていく上で、工夫されていらっしゃることはありますか?

患者さんの説明は、ほとんど看護師に任せています。皆、同じ説明ができるような独自のパンフレットをさまざまな疾患を網羅するように作り、それを渡しながら話してもらっています。

そうしなければ、時間が足りないですし、患者さんの待ち時間を少なくするには最も良い方法だと思っています。スタッフが勉強するきっかけにもなると信じています。

 

外部研修については、希望があれば費用をこちらで負担して参加してもらっています。学会もそうですが、勉強して持ち帰り、みんなの前で発表することは良い刺激になりますよね。

 

不妊治療では看護師や胚培養士などそれぞれのプロフェッショナルがいるので、あまり口出しせず、自分たちで考えて決めさせるようにしています。

 

今後のビジョンがあれば、お聞かせください。

日々診療にあたっている中で、内視鏡手術や外科的な治療の重要性をとても感じています。すぐに体外受精ではなく、内視鏡手術なども出来る限り続けていこうと思っていますし、もっと負担を軽くできるようにしたいですね。

 

まとめ

院長の藤井先生のインタビューを行っていて感じたことは大きなクリニックの院長というよりは一つ一つを真摯に探求していく研究者のような印象を受けました。

 

お話もどちらかというとコンパクトに淡々と話されますが、その中に結構、こだわりというか、様々な工夫や改良があったのだろうなと感じました。

 

インタビューの最後に「青森という保守的な場所にも関わらず、日本の最先端医療をされているのはなぜでしょうか?」という質問をしたところ、「患者さんに最善と思えることが出来なくなったら、医師を辞めた方がいい」ときっぱりと話されるのを見て、もし自分がこの近くで女性だったらこの先生に診てもらいたいと思いました。

 

また、インタビューの内容にもありましたが、オーストラリア(不妊治療の先進的な場所)の大学で不妊治療を学ばれた方は日本の不妊治療のオピニオンリーダーとして各地で活躍されています。青森にこのような生殖医療のスペシャリストがおられることも青森県の皆さまにとって大きな福音だと思いました。

 

最後にお忙しい中、インタビューにお時間を頂戴した藤井院長先生に厚く御礼申し上げます。

 

取材:青森ドクターズ編集長 池上文尋

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