あおもり藍ブルーリンクプロジェクト代表 福士珠美氏インタビュー

最終更新日:2021年7月20日
あおもり藍ブルーリンクプロジェクト
代表
福士珠美

BLUE LINK PROJECT代表

福士 珠美 (ふくし ますみ)

 

[出生地] 青森県北津軽郡金木町(現在の五所川原市金木町)

[出身校] 青森県立青森高等学校(33回生)

      日本大学法学部新聞学科(牧田ゼミ)

[職 歴]  ATV青森テレビにアナウンサーとして入社。

       情報生番組「おしゃべりハウス」初代キャスター。

       放送部⇒ワイド番組部⇒編成部⇒報道部⇒

                 業務部⇒企画推進部⇒営業部

                 と転業転職に等しき異動で多彩なキャリアを積み、

                 多彩な人脈を得る。

[転 機] 2015年「あおもり藍」の特別番組をプロデュース。

      「染めてよし、食べてよし、衛(まも)ってよし」の

      万能ともいえる藍のチカラを目の当たりにして、

      広めたい、盛り上げたい、深く関わりたいと願望。

 

2020年11月、株式会社BLUE LINK PROJECT設立。

翌月、青森市古川にあおもり藍の製品をほぼ全て揃えた店舗をオープン。

県内唯一のあおもり藍専門店の経営、あおもり藍をはじめとする

地域資源を生かした企画のデザインに携わる青森フリーク。

このたびはあおもり藍ブルーリンクプロジェクト代表 福士珠美氏にインタビューをさせて頂きました。

 

長年、青森のテレビメディアの第一線で活躍されてきた方ですので、ご存知の方も多いのではないでしょうか。

 

そのバリバリのテレビメディアの方がなぜあおもり藍のお仕事に取り組むことになったのか、凄く興味湧くところですよね。その部分をしっかり聞いてまいりましたので、ぜひご覧ください。

 

青森を代表するATVの仕事からあおもり藍を広げていく仕事に転身された理由について教えてください。

人との繋がりやタイミング、運などに委ねていたら、ここにいたという感じです。

 

34年間、青森テレビに在籍していました。アナウンサーからスタートし、制作にも携わりました。報道が一番長く、14年半いましたね。その後、事業系の企画推進部にいて最後は営業でした。本当に十分、会社に尽くしました。

 

ちょうど、母が大腸癌を患って手術したのですが、リンパ節転移が見つかって抗がん剤治療が必要になりました。3週間に一度、点滴するため県立中央病院に行かなくてはならず、それが半年かかるとのことでした。

 

私は、父を癌で無くしているのですが、母のことはきちんと私がケアしてあげようと思っていたので、青森テレビを退職することにしました。代休がたくさん残っていたので、それを一年かけて消化してゆっくりしようと思っていたのです。

 

そうこうしているうちに、ゴールデンウィークが過ぎたあたりに、ジェトロ(日本貿易振興機構)からコロナ禍だけれども、ベトナムのハノイで衛生用品に特化した商談会があり、あおもり藍がドンピシャだと思うとの話がありました。ただ、あおもり藍産業協同組合にはそういうことをされる人がいませんでした。

 

そのため、私が少しお手伝いをさせてもらっていいですかという話をして、それにチャレンジすることにしました。

 

120数社の応募あって、20社しか選ばれなかったところに運良く選ばれました。結果的に取引には至りませんでしたが、面白いと感じ、そういったお手伝いができきればいいと漠然と思っていました。

 

今話をしているここは店舗なのですが、以前はブティックでした。かつて、私がお客さんとして洋服を買いに来ていて、そのオーナーがお店を7月いっぱいでたたむとのことでした。

 

ここは、真っ白くて素敵な空間で勿体無いなと思っていたところ、以前からあおもり藍の商品はいろんなところに置いてあるけれども全て揃ったお店がなかったことを思い出しました。

 

番組を作っていた頃、どこで買えるのかと聞かれた時に、あおもり藍の商品が一堂に介したお店があるといいなと感じていたことから、それなら私が作れば良いのかということで、そこから補助金を探し出しました。

 

ちょうど、青森市に新ビジネス挑戦支援金というのがあり、店舗の改装費や商品開発の半分を補助するというものがあり、応募しました。それが8月末の締め切りでした。何とか間に合わせて9月にプレゼンをし、10月に交付決定をいただきました。ただ、その補助金は起業が前提だったので、11月に法人化して12月にお店を始めたという次第です。

 

青森テレビをやめようと思ったのは母の病気がきっかけでしたが、導かれるようにいろんなことに挑戦して起業に至りました。普通なら、今までのスキルを生かせることをするのだと思いますが、全く新しい分野に挑戦したことになります。

 

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あおもり藍に出会ったのは、いつ頃でしょうか。 

私が報道時代、ちょうど2010年です。山崎直子さんが宇宙飛行士として、スペースシャトル・ディスカバリー号に搭乗した時にあおもり藍のポロシャツが彼女の船内着として採用されました。そのニュースがあり、記者として単純に面白いと思っていました。

 

当時、あおもり藍で染めたポロシャツは、抗菌と消臭効果が高いということで採用され、興味深い染め方をしていると思っていましたが、その後、報道を離れて企画推進部へ異動した2014年に、今度はあおもり藍のエキスの抽出方法ですばらしいものが開発されたとニュースになりました。

 

これまで、藍由来の抗菌活性物質は認識されていたのですが、それを抽出するにはアセトンやジクロロメタンなど石油系の有機溶媒を使う必要がありました。

 

せっかく、あおもり藍は農薬不使用で栽培しているのに、そういう抽出方法はそぐわないということで一生懸命開発し、とある柑橘系の天然成分を使って抽出するのに成功したのです。

 

抽出するのに用いたのも天然成分ですので、抽出したエキスは100%天然成分です。これはすごいことだと思っているうちに、2015年にスプレーが開発されました。これを番組にしない手はないだろうと思い、201512月に「未来を拓くあおもり藍のチカラ」という特別番組を制作しました。

 

取材を進める中、番組にも盛り込めなかった話を聞くうちにあおもり藍はすごいという気持ちが大きくなりました。番組制作は、どこか第三者的に、俯瞰的に物事を見て作りますが、その中に入っていきたくなってしまったのでしょうね。

 

自分も役に立ちたい、お手伝いしたいという気持ちが漠然とあったのかもしれません。そういうものに巡り会えたのがラッキーですよね。

 

あおもり藍の魅力はたくさんあると思いますが、その魅力を教えていただけますか。 

一言では言えませんが、未知の力や無限の可能性を感じています。本当に、染めてよし、食べてよし、衛ってよし。すごい素材だと思っています。

 

それこそ分野でいうと、医療、介護、衛生、ファッションやライフスタイル、農業分野など。これだけいろんな分野に関われる素材は他にないと思っていますし、青森のすごい地域資源、宝だと考えています。

 

3月に弘前大学で、あおもり藍エキスにヒトコロナウイルスの増殖抑制効果があるという研究成果が発表されましたが、それもものすごくタイムリーですよね。

 

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お茶として飲んでも、コロナに効果があるのでしょうか?

食品としてもすぐれた効能がありますが、ポリフェノールが非常に豊富です。活性酸素を除去する働きに優れているポリフェノールが、ケールや若葉の4倍含まれています。

 

また、アンチエイジングが期待される抗酸化力が、ブルーベリーやほうれん草の5倍。藍の色素や苦味成分であるフラボノイドにコレステロール低減効果もあると言われています。

 

東北医科薬科大学の佐々木健郎先生が、糖尿病にも効果がありそうと話されていました。

 

インスリン抵抗性の改善に効果があるそうです。インスリンは出ているけれど、うまく働いていない状態に対して、あおもり藍に含まれるインジルビンという赤色の色素成分がインスリンをうまく働かせるアディポネクチン(善玉ホルモン)の分泌を増やしてくれるとのことで、これは論文にもなりました。

 

こちらの会社は、他の事業も今後展開されていくのでしょうか。 

今後、取り組みたい3本柱があり、一つはあおもり藍の宣伝や店舗経営。二つ目があおもり藍を使った商品開発。そして、三つ目が海外展開です。

 

あおもり藍の価値を高め、多角的にヒトやモノ、コトとつながりたいと思っています。いろんな企画を生み出したいですね。

 

主たる事業は、青森が誇る地域資源を活用した様々な企画のブランディングやプロデュースであり、あおもり藍はそのシンボリックなものになります。あおもり藍に限らず、青森が誇るものをどんどんいろんな人とつなげて発信していきたいですね。

 

起業されて、皆さんの反響はどうでしたか。 

テレビ局時代の知り合いは、皆一様に驚いています。何かやりそうだとは思っていた、とも言われましたが。

ネットショップは今、頑張って作っているところですが、青森でもクラスターが発生しているので、濃厚接触者になってしまったからマスクを頂戴、スプレー頂戴、と言って買いに来る方もいます。あおもり藍がだんだん認知され、暮らしに浸透しつつあるのを感じます。

 

今後のビジョンをお聞かせください。

海外展開は、取り組みたいですね。あおもり藍が高い抗菌性、消臭力、抗炎症作用、抗ウイルス性能を持った素晴らしい天然成分だということを広く発信して販路開拓も進めていきたいと思います。

青森に埋もれているすごいものは、たくさんあります。桑の栽培は青森が北限なのですが、東北以南で栽培している桑は虫がたくさんついてしまうのに対し、青森の桑の葉っぱは本当に綺麗です。

 

無農薬で栽培していますし、食後の血糖値の上昇を穏やかにする成分も含まれています。ストレスを軽減させるGABAも非常に含まれているので、そのような機能性表示食品の商品開発や発信のお手伝いをしたいと思っています。

 

また、青森の企業は本当に中小零細が多く、商品開発や発信にまで手が回りにくいので、それらに加えて、コラボ商品などもできたらいいですね。

 

先日、ある作家さんがちょうど個展をされていたのですが、そこに錦石を使った時計があり、すごく素敵でした。錦石も津軽特産ですが、まだあまり知られていませんし、県民も価値があると思っていないかもしれませんが、すごく綺麗なので付加価値のある素敵な商品を一緒に作っていければいいなと思っています。

 

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健康管理や美容面で、気をつけていることがあれば教えてください。 

かつては、体も壊しましたし、報道時代は過労死寸前までいきました。本当に、寝たらこのまま目覚めないのではないかと思いながら仕事したこともありましたけど、そうするとやはり、ストレスがたまりますよね。

 

そんな時、自然の中に身を置くことは大事だと思っています。ここは、車で30分も走れば八甲田山系という雄大な自然がありますので、そこで深呼吸するだけで癒され、また頑張ろうと思えます。

 

以前、東京から大事な女優さんが番組に来た時、仕事の翌日にプライベートで八甲田を案内する機会がありました。しかし、その日に限って疲れが祟ったのか、背中が痛くて息をするのも大変なほどでした。

 

具合が悪く、待ち合わせの時間を1時間遅らせてもらって蔦沼まで行ったのですが、歩いているうちにみるみるうちに体調が回復しているのがわかり、改めて自然はすごいと感じた経験があります。

 

それこそ、いろんなせせらぎの音や小鳥のさえずり、人間では感じない自然の揺らぎの音の中にいると、本当に薬も何もいらなくて癒されるのだと感じました。疲れたら、ぼーっと山や海を見ているだけでもすごく癒されますよね。

 

今は、寝る前に黒にんにくを食べていて、朝は必ずリンゴ酢とあおもり藍のサプリメントを飲んでいます。

 

このサイトを見ている方々に、メッセージをお願いします。

ある歯科医院の先生が、あおもり藍をすごく気に入って、マスクやスプレーなどを購入してくださっているのですが、あおもり藍の歯磨き粉は練り歯磨きなので、水歯磨きがあれば良いよね、という話をされていました。確かに、水歯磨きだとそれほど口をゆすがなくても良いので子どもにも良いですし、寝たきりの方にも重宝されますよね。

 

いろんなお医者さんの目線も大事にしながら、ドクターズブランドを作っていければ面白い展開になるのではないかと考えています。

 

その他としては、フェミニンケアの商品開発をしたいですね。女性は月一で生理があり、本当にムレとか匂いが気になるのですが、あおもり藍のスプレーをかけるだけでかゆみや赤みが消えました。

 

さらに、更年期のいろんな不調も軽減してくれるのではないかと思っていて、適切にケアすることでホルモンバランスも整うと考えているので、この分野に関しては是非、取り組みたいと思っています。

 

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まとめ

以前、弘前大学の菊池先生に青森藍の取材をさせて頂き、純粋に凄いなと思っていましたが、今回の福士さんの取材でより深く青森藍のことを知りましたし、そのポテンシャルを感じる機会となりました。

 

コロナ禍の中でこれだけ多くの人の役に立つ青森藍の力を出来るだけ多くの方に知ってもらいたいと思った今回のインタビューでした。

 

福士さんはメディア側の方なので取材慣れされていると思っていたら、取材するのはプロフェショナルなのですが、されるのは慣れていないんですとはにかんで答えられていたのが印象的でした。

 

福士さん、お忙しい中、取材を受けて頂きありがとうございました。

この場をお借りして厚く御礼申し上げます。

 

 

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