青森県の健康パラドックス~自然の恵みと短命の原因を探る

最終更新日:2024年9月2日

青森県は、美しい自然に囲まれた土地であり、清らかな水、澄んだ空気、そして豊かな食材にめぐまれています。

 

これらの要素は、本来ならば健康に資するものであり、青森県民が長寿であってもおかしくはありません。

 

しかし、現実には青森県は「日本一の短命県」という不名誉な称号を持っています。この健康パラドックスの裏には、いくつかの複雑な要因が絡み合っています。

 

  1. 運動不足

青森県は、特に冬季の厳しい気候が特徴であり、積雪や寒さが住民の運動習慣に大きな影響を与えています。長い冬の間、屋外での活動が制限され、運動不足が常態化してしまうのです。

 

運動不足は、肥満、糖尿病、高血圧などの生活習慣病のリスクを高める要因となります。

 

車社会で近所でもすぐに車を使ってしまう習慣は健康にはマイナス面となっています。

 

 

  1. 炭酸飲料の消費量日本一

青森県は、炭酸飲料の消費量が全国一であることも、短命に寄与していると考えられます。

 

糖分を多く含む炭酸飲料は、肥満や糖尿病のリスクを高め、また、歯の健康にも悪影響を及ぼします。特に若い世代での消費が高いことが懸念されており、将来的な健康問題の種となり得ます。

 

炭酸飲料の消費量の都道府県ランキング(令和4年)

https://region-case.com/rank-r4-carbonated-drink/

 

  1. 精製塩の過剰摂取

青森県では、伝統的に塩分の多い食文化が根付いています。特に、冬季に備えて保存食としての塩漬け食品が多く消費されるため、年間を通しての塩分摂取量が多くなっています。

 

過剰な塩分摂取は、高血圧や心血管疾患のリスクを増大させ、寿命を縮める要因の一つとされています。

 

全国第4位(めるとが行く塩の旅)

https://rakuda6.fundely.co.jp/travel/

 

 

  1. その他の要因

これらに加え、医療機関へのアクセスや、健康教育の不足も要因として挙げられます。特に、青森県は広大な地域に分散した人口構成であり、医療機関までの距離が長いことが医療の利用を妨げる場合があります。

 

また、健康に関する意識が他県に比べて低いというデータもあり、予防医療の普及が進んでいないことも影響しています。

 

青森県民の意識に関する調査等 調査結果の概要

https://www.pref.aomori.lg.jp/soshiki/kikaku/kikaku/files/R4isikichosa.pdf

 

長野県の成功例から学ぶ:医師と住民の連携による健康意識の向上

青森県の健康課題を解決するための参考になるのが、長野県の事例です。かつて長野県も、青森県と同様に、健康問題に悩んでいましたが、医師たちが中心となって住民の健康意識を向上させる取り組みを進めた結果、全国有数の長寿県へと変貌を遂げました。

 

長野県では、医師たちが地域に根ざし、住民とのコミュニケーションを通じて、健康に対する知識と意識を高める活動を行いました。具体的には、生活習慣の改善指導や、地域ぐるみの健康プロジェクトを推進し、住民が主体的に健康管理を行えるよう支援しました。また、予防医療の重要性を強調し、病気の早期発見や生活習慣病の予防に積極的に取り組む風土を醸成しました。

 

青森県が目指すべき道

青森県でも、長野県のように医師を中心とした健康意識向上の取り組みが重要です。

 

医師や歯科医師、保健師、管理栄養士が地域に密着し、住民と直接対話しながら、食生活や運動習慣の改善を指導することが効果的だと考えられます。

 

また、地元のメディアを活用し、健康に関する情報を広く伝えることも必要です。

 

さらに、地域特有の食文化を尊重しつつも、健康的な代替品を提案し、住民が無理なく取り入れられるような方法を模索することが求められます。例えば、塩分を減らす調理法の普及や、地元産の野菜や果物を使った健康メニューの開発などが考えられます。

 

 

ゲーミフィケーションを活用した運動促進:『青森GO(仮称)』の可能性

青森県における運動不足を解消するために、ポケモンGOのようなゲーミフィケーションを取り入れることも一つの有効な手段かと思われます。

 

『青森GO』のようなアプリを開発し、住民が青森県内の名所や観光地を巡りながら歩くことで、ゲーム内でポイントやバッジを獲得できるようにするのです。

 

これにより、楽しみながら自然と体を動かすことができ、運動習慣を形成するきっかけとなるのではと思います。

 

このようなデジタルツールは、特に若い世代やデジタルネイティブ層に効果的なので、地域イベントと連携させることで、家族やコミュニティ全体で楽しめる活動へと発展させることも可能です。

 

『青森GO』を通じて、青森の自然や文化を再発見しながら、健康的なライフスタイルを取り入れることができれば、短命県から健康長寿県への変革が期待できるのではないでしょうか。

 

青森県の未来

青森県は、豊かな自然と食材に恵まれた土地です。

この恵みを活かしつつ、住民の健康意識と行動を改善することで、短命県から健康長寿県へと生まれ変わることができます。

 

ゲーミフィケーションやヘルスケア教育や地域医療の充実を通じて、青森県が全国に誇れる健康モデル県となる日が来ることを期待しています。

 

 

編集長@池上

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執筆者
池上文尋

池上文尋

北里大学獣医学部 動物資源科学科卒 
大学時代、現在、人に使われている生殖医療の基本技術を学ぶ。
卒業後、外資系製薬企業に所属し、12年間、製薬企業のマーケティングスタッフとして勤務する。(ノバルティス・メルクセローノ・ファイザー)

特にセローノでは不妊治療に使うホルモン剤を中心に扱っていたので、不妊治療に関わる先生方と深く関わることになった。

2000年7月に株式会社メディエンスを設立、日本全国の産婦人科クリニックや病院の広報やブランディングをサポートする事業を開始。また、製薬企業向けのポータルサイトを制作、製薬企業のスタッフ教育に関わる。

不妊治療に造詣が深く、妊娠力向上委員会、胚培養士ドットコム、日刊妊娠塾という不妊治療関係のネットメディアを運営している。また、不妊治療関係の企業へのコンテンツ提供を行っている。

2002年より、オールアバウトの不妊治療ガイドとして16年間執筆・編集に従事。その他にも不妊に関する多くの著書、映画、調査などのアドバイザーとして関わる。

不妊治療の取材で訪れたクリニックや病院、関係施設は300を超え、日本で最も不妊関係の取材を行っている一人である。現在もその姿勢は変わらない。

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