かきざき糖尿病内科クリニック 柿﨑院長インタビュー(青森市)

最終更新日:2020年5月17日

今回は青森市篠田で新規開業されるかきざき糖尿病内科クリニック院長の柿﨑雄介先生にインタビューをさせて頂きました。なんと開業日前日(開業日5月11日)に取材に応じて頂くという、なんとも奇跡的なタイミングとなりました。

 

救命救急医を目指していた柿﨑先生が、なぜ路線変更して糖尿病専門医になられたのか、青森で糖尿病を診るということの意味、患者さん啓もう活動の重要性などかなり示唆に富んだインタビューとなりました。

 

ぜひご覧ください!

 

かきざき糖尿病内科クリニック (青森市)
院長
柿﨑雄介
先生

【経歴】

平成22年
東京医科大学医学部 卒業
同年 東京医科大学八王子医療センター 初期研修医
平成24年
東京医科大学 糖尿病・代謝・内分泌・リウマチ・膠原病内科 入局
平成29年
青森県立青森中央病院 内分泌内科入職
日本糖尿病学会専門医取得
平成30年
かきざき胃腸科内科クリニック(青森市三内) 入職
東京医科大学 糖尿病・代謝・内分泌・リウマチ・膠原病内科 兼任
令和2年
かきざき糖尿病内科クリニック 院長

 

ドクターになられたきっかけを教えてください。

私の場合は、祖父が亡くなったことがきっかけでした。

もともと医者の家に生まれたので漠然とは考えていましたが、本気で医者になろうと決めたのは20歳のころでした。人が死ぬということに対してとてもショックを受けましたね。

死んだ人に背中を押してもらったように感じています。

糖尿病専門医になった理由について教えてください。 

医学生は6年間の学生生活が終わると国家試験を受けて、その後は初期研修に進みます。私は救命部や外科医に憧れていたので、東京医科大学八王子医療センターという病院に所属しました。

 

野戦病院のような施設で、連日、脳梗塞や心筋梗塞といった急病の方が搬送されてきました。仕事は大変でしたが、やりがいがありました。重症で運ばれてきた患者さんが元気に退院していく際にはとても充実感を感じました。

 

しかし一方では、命が助かっても後遺症が残ってしまいその後の生活が様変わりしてしまう方も多くいました。このような現実を目の当たりにしたことで、だんだんと患者さんの基礎疾患、いわゆる持病に目が向くようになりました。

 

脳梗塞や心筋梗塞を起こす患者さんは、糖尿病や高血圧などの持病がある方が多かったんですね。大きな病気を起こさないようにするための予防が大切だと思いました。糖尿病をしっかりコントロールして『畳の上での大往生』を目指すことには夢があるなと感じ、糖尿病内科医を志しました。

 

開業に至った理由について教えてください 

自分のルーツは青森ですし、また若い頃に迷惑を多々かけたので、そろそろ長男の仕事をしようかとも考えていました。そんな時に家族が体調を崩したため、青森に戻ってきました。

 

青森県立中央病院の内分泌内科に所属させてもらい弘前大学の先生たちと一緒に仕事をしているうちに、この短命県で仕事をすることは非常に意義があることだと感じるようになりました。

開業の場所を選んだ選定基準はありますか?

クリニックを開業する際に銀行の方が話を持ってきてくれたのがきっかけでここになりました。

 

もともとはネオン看板屋さんの工場で、トラックがそのまま入れるような大きな建物でした。初めて見た時にはここがクリニックになるという想像はつきませんでしたが、そこの社長さんと話をしているうちに、この立派な建物を壊すのは忍びないし、お金もかかるのでリノベーションしようということになりました。

 

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青森は糖尿病も糖尿病から腎透析に移行する方も多いと聞いております。その辺りについてどのように思われていますか? 

青森県は糖尿病が重症化するまで病院に行かない人が多いと言われています。糖尿病を放っておくと脳卒中や心筋梗塞などの命に関わる病気を引き起こしますし、また命には関わらないけれども生活の質を落としてしまう失明や腎透析の原因にもなります。

 

重大な状態になってから『もっと早いうちに知っていれば治療を頑張ったのに,,』となる方もいます。本人のやる気はあったのに、手持ちの情報が足りなかったんです。例えば、腎透析を防ぐには糖尿病だけでなく血圧やコレステロール、体重や喫煙などを早い段階から管理する必要があります。医療者側のマンパワーとか、患者さんとの距離的な事情など様々な問題がありますが、患者さんが持つ(正しい)情報量を増やすこと、も短命県返上にとって大事なことなのかなと考えています。

医療としての治療と生活指導としてのヘルスサポートがあると思いますが、ヘルスケアの部分で今後、力を入れて行きたいことはありますか?

患者さんへの情報提供や地域の啓発活動は今後の課題ですよね。まさにそこを頑張ろうと思って開業しました。

 

20184月から約2年間、実家のクリニックを手伝っていました。胃腸科でしたが80人ほど糖尿病の患者さんがいましたので、その方たちに毎月糖尿病教室を開催して普段の数分間の診察時間内では伝えられない大事なことを話しました。あまり堅苦しくならないように、時にはミキサーを持ち出して食物繊維を粉々にして『血糖が上がりにくくなるふりかけ』をみんなで作ったり、

 

一年経つと面白い結果が出たんです。糖尿病の検査項目のHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)が約1%下がったんです。糖尿病が少し良くなったということです。ただ、その1年間に糖尿病の薬が減った人はたくさんいましたが増えた人はいませんでした。そして体重も減っていたんです。

 

もちろん、教室に通われる方はもともと熱心であるとか様々なバイアスはかかってはいるのですが、にしても療養指導は重要だと再確認しました。患者さんの知識は増えて、余分な体重と薬が減るならとても良いことです。

 

糖尿病治療は、どんな薬を飲むかも大事ですが、それ以上に教育が大切だと考えています。まずは、糖尿病がどういう病気なのかを患者さん自身が知ることから始まります。医療者から『甘いものを減らして下さい』と言われても、なぜ減らさなければいけないのかを伝えなければ、ただストレスを与える場にしかなりません。治療の意義や目的を伝え、納得してもらえれば自然と行動が変わり糖尿病が良くなっていくケースは多々あります。

 

この経験をもとに今回の開業では教育ができる環境を整えました。糖尿病教室ができる待合室や調理実習室を作ったんです。新型コロナウィルスのこともあり開催は少し先になりそうですが。

 

また、教育を患者さん個々に最適化していくことも大事です。患者さんの身体的な状態を把握することはもちろんですが、加えて社会的背景や経済的背景など様々な要因を理解する必要があります。そして、それをやるためには情報収集する医療チームが必要です。当院では管理栄養士から看護師、クラークまでスタッフ全員で『患者さんを理解する』意識をもって業務に取り組んでいこうと思っています。

 

このような考えに至ったのは、恩師の先生方によるところが大きいです。

八王子医療センターで糖尿病診療に興味を持たせてもらい、東京医科大学の小田原門下でトレーニングする機会を数多く頂きました。そして青森で出会った県立中央病院の先生方が、東京で得たテクニカルな部分に熱を入れてくれました。

 

県立中央病院での勤務初日の夜、飲みに連れて行ってもらったのですが、その時に、『糖尿病患者を透析に移行させないためにやれること全部やろう』という先生方の熱い思いを聞かせてもらったのが現在の仕事に繋がっていると思います。

 

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今後のビジョンについて教えて下さい 

まずは常に最新の医療をインプットして、それを患者さんに適切に落とし込んでいきます。

 

1人で仕事をしているとどうしても情報が遅れがちになってしまいます。現在は新型コロナウィルスの関係でお休みしていますが、東京医科大学病院の外来枠がありますので、そこでも勉強を続けさせてもらおうと思っています。

 

また、県立中央病院の甲状腺エコーチームにも入れていただいているので、そちらでも勉強させてもらっています。

 

そして状況がいつか落ち着いたら、小学校での健康教室など地域のヘルスリテラシーを高める手伝いができたらいいなと思っています。

青森のみなさんへのメッセージをお願いします。 

人生は有限で一度きりです。健康は大切ですが、多くの場合はそれが失われそうになった時に気づきます。

 

できれば元気なうちに健康的な生活習慣を少しずつ身につけていただければ、より良い結果に結びつくのではないかと思っています。

 

このクリニックは患者さんが『畳の上での大往生』を目指す施設です。健康に関することを気軽に相談してもらえればと思います。

 

まとめ

インタビューの内容はいかがだったでしょうか?

柿﨑先生の優しい語り口の中に熱い情熱や思いのこもっている取材となりました。

 

東京の最先端の医療の中で切磋琢磨し、青森の心ある先生方との出逢いとアドバイスから気づきを得られて、今がある。それを患者さんに還元していきたいという気持ちがびんびん伝わってまいりました。

 

また、患者さん一人一人の状況を把握しての個別化医療や啓もう活動を通しての予防医療の推進と青森県のこれから目指そうとする形を先取りしていると感じました。

 

今回はオンラインの取材でしたので、次回は現地に赴き、別の視点からお話を伺いたいと思います。

 

開業前の超多忙な時間を頂戴し、誠にありがとうございました。

この場をお借りして厚く御礼申し上げます。

 

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